深夜のアップル Spring Forward スペシャルイベントに続き、10日午前中にはアップル日本法人が新製品のタッチ&トライを行いました。ここでは限られた時間の中ではありますが、試用した印象をお届けします。
新型MacBookは、空気のような軽さをうたったMacBook Airよりもさらに軽く920gを実現したモデルです。そのコンセプトの中核をなすのが「ワイヤレスな世界のために完全装備」というワード。「ワイヤレスな世界のための完全装備」としたくてムズムズしますが、軽量化とともにUSBの1ポート化など、大胆にそぎ落としたモデルとなっています。まずは動画をどうぞ。
短時間の試用ながら好印象だったのが新MacBookでした。まるで持ってないかのような軽さ、というのは冗談としても、基本的なデザインに変化がないために重さはどうしてもこれまでのMacBookシリーズの印象を引きずります。
このため12インチで920gの新MacBookを手にした感覚は想像したよりも軽い、というものでした。ただし軽さに驚いたかといえば違います。そこは13インチで800gを切るNECの LaVie Hybrid ZERO の方が印象に残る軽さと言えます。
スペックについては比較表を確認いただくとして、ここでは使用感に大きく関わり、今回新たな設計が用いられたキーボードとトラックパッドについて印象を説明します。
キーボードはパンタグラフ式からバタフライ構造に変更。これまでのMacBookシリーズはその構造上、キーを指先で触れて左右に揺すれば少し遊びがあるのがわかります。ともすればこれはぐらつきと表現されますが、新構造のキーはこのぐらぐらした感じがほぼありません。
その一方、キーストローク(押し込んだ際の沈む深さ)がほとんどないのも新構造のキーボードです。押す力こそ違いますが、従来のMacBookのトラックパッドを押し込んだ時のカチッとした感じに似たキーフィーリングがあります。
よく使うキーボードの変更だけに、当初この違和感はかなりありましたが、一方でしばらくすればこれはこれで慣れる気がする、と感じました。薄型キーボードにありがちなキーの底を打った際の頼りなさが少ないせいかもしれません。個人的な好みもあるところなので、店頭でぜひ感触を確かめて欲しいところです。
続いて、圧力感知センサーを搭載した新トラックパッドについて。アプリケーション毎に対応する必要があるものの、押し込んだ強さに応じて異なる反応が返ってきます。また、押し込んだ際にカチッと触感のフィードバックがある点も直感的です。
たとえばQuickTimeで動画を再生した場合、早送りのボタンはタッチする強さに応じて、2倍速、5倍速、10倍速、30倍速、60倍速と変化します。長尺の動画を再生する場合などに使いやすい機能かもしれません。
会場にいたアップルの説明員によれば、この圧力感知機能は当初OSにプリセットされたアプリケーションの一部に対応しています。今後APIを公開し、サードパーティのアプリなどでも対応できるようになる予定。この機能を利用したゲームアプリなど、活用の幅に期待したいところです。
なお、新MacBookではバッテリーを積層化し、隙間を埋めるように配置しています。バッテリー容量については非公表で、駆動時間はWiFiによるブラウジングで9時間。今回のタッチ&トライではそのバッテリーをアピールするかのように、電源接続なく製品を試用できました。
このほか使用感とは違いますが、USB TypeCポート1つだけ装備している点も気になるところ。USB 3.1規格ですが第1世代となるため転送速度は5Gbpsで、説明員はUSB 3.1規格は第2世代から10Gbpsと話していました。今回アップルはワイヤレスな世界のMacBookとして新型を導入しており、WiFiやBluetooth、アップルのAirPlayなどの活用によってワイヤレスの世界を体験できるとしています。
とはいえ、購入を検討すればするほど、1ポートでは心許ないと思うのも事実でしょう。とくにUSB対応機器は過去の周辺機器資産とも関係してきます。USB TypeCは裏表なく挿せる点で画期的なUSB端子と言えますが、ある程度過去の資産と決別する覚悟が必要になるかもしれません。