アップル、「未来先取り戦略」は吉か凶か

新MacBookは大胆に過去を投げ捨てた

アップルが3月9日のイベントで発表したMacbookには、さまざまなサプライズがあった

ティム・クックCEOが「4月には出荷される」と公言していたため、今回のアップルの発表は、Apple Watchが軸になる、と皆が思っていた。確かにそれは外れてはおらず、主なアピール点のひとつではあったが、それだけが注目点だったわけではない。むしろ、トータルでのアピール力で言えば、新しいMacBookが目を惹いた。それはもちろん、まったく新しいハードウエアである……という事情が大きいのだが、アップルの考える「マック」というパソコンの将来、そして、今後くる各種デバイスの姿を予見させる部分もある。

「USB-C」と「ワイヤレス」の未来を強引に引き寄せる

 
音量にご注意ください

新MacBookは薄型・軽量だ。仕上げの美しさには定評のあるアップル製品だけに、今回の製品も美しい。最厚部でも1.31cm、重量920gというのは、マックとしては最軽量だ。日本にはもっと軽い製品もある、という指摘もできるのだが、デザインも含めた「商品としての吸引力」まで考えると、さすがの製品と言っていい。

一方で、恐ろしくスッパリと、新しい方向に舵を切った部分も2つある。そこが、良くも悪くもアップルらしい。

ひとつめは、拡張および充電用のコネクタとして、「USB-C」ひとつだけを搭載した、という点だ。USB-Cとは、「USB Type-C」として今後普及が見込まれるもの。業界標準ではあるが、まだ普及しておらず、アップル自身も初めて採用したものだ。以下、少々わかりにくくなるため、名称はアップルに合わせ「USB-C」とする。従来のUSBと違って小型かつ表裏の区別がない。アップルがiOS機器で使っている「Lightning」に似た特質を持つが、形状での互換性はもちろんない。

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徹底的な敗戦から70年。これまで日本は幸いにも戦争をせずに来た。だが、今や隣国との緊張関係に加え、テロの脅威が日本人の安全を揺るがす。テロと戦争の境目があいまいになる世界で、気がつけばその日本も当事者になっていた。今、そこにある危機を真剣に考える。

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