かくいう私も青二才でね

知ってるか?30まで青二才でいると魔法が使えるようになるんだぜ?

フリーゲーム「雪道」は一寸先の見えないゲームだった!



結論から言うと「なんのチュートリアルや世界観説明もなく始まり、簡単に死ぬゲーム」だった。いや、ルールをつかんだとしてもゲーム全体を見渡すことができない。

 

良く言えば、ハラハラドキドキ。悪く言えば、不親切。そんなゲーム。
ただし、ハラハラドキドキさせながらも理不尽なゲームではないので、ルールさえ把握すれば、面白くなる。

ゲームの概要
女の子が雪道を闘いながら歩いて目的地へと進んでいくRPG
ただし、攻撃力・防御力0からスタートするから、攻撃や防御の術から見つけないとゲームを進めることができない。

100歩ごとにボスが現れ、ボスを倒すとその都度ストーリーが進む。
話はデータフォルダを探せば、テキストだけを読み返すこともできる。
ステージクリアの間隔が開いてしまってストーリーがわからない時、ゲームクリアしてもっと正確にストーリーを理解するために読み返す時にオススメ。

ゲーム画面はこんな感じ

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ステッパーズ・ストップ より。

 

 理不尽さが最小限のルール把握系ゲーム

このゲームの嬉しいところは「ルールの把握が難しいものの基礎的なルールさえ把握できれば、だれでもクリアでき、しかも短時間で終わる」ゲーム構造にある。

さらっと書いたが、この塩梅を実現したゲームは意外とない。ゲームバランスだけで言えば、僕は今までやった40本・50本のゲームの中で一番だと思っている。

 

確かにルールを把握するのが難しいゲームはいくつかある。でも、その多くは長編であったり、理不尽であったりと楽しむ人を選ぶことに結びついて「0からゲームを理解していく楽しさをゲームをゲームにそれほど詳しくない人に伝えるゲーム」はなかなか無い。

 

僕が紹介してきたもので、特に「ルール把握」の傾向が強いゲームは魔王物語物語、SCE2、不思議の城のヘレンの3種類だが…この3つはそれなりに忍耐力も時間も必要になる。

 

特にこの種のゲームの代表格と言われる魔王物語物語については「ルール把握」も重要ではあるが、ルールを把握しても反射神経など操作の腕が身につかないと簡単にやられる。

また、隠しステータスや説明がない異常状態、説明があっても試行錯誤しないと気づかないステータスの別の効果などが多数存在する。
極めつけはこれだけ理不尽なのに、前半のルールがわかってない時のミスがゲーム後半で大きく響く仕様だ。

 

ストーリーもセリフで選べばずば抜けてかっこいいゲームであると同時に、相手のゲームの腕を配慮して推薦しないと友達をなくすか逆恨みされろうなゲームでもある。それだけ敷居が高い。
そして、この傾向は魔王物語物語だけではない。この手のゲームはどうしても攻略サイトを見ないとゲーム自体が不完全燃焼で終わるか、楽しさに気づく前に投げ出してしまう事が多い。
あるいは長編の中の1つのエッセンスで終わってしまうことから「ここが楽しい」という部分としてルールの把握を挙げにくくなる。


その点、雪道というゲームはとてもシンプルにまとまっていた。
ゲームの難しい理由を「ルールを把握すること自体が難しさ」「ルールを把握しないとクリアできない」というところに絞り、「大量のレベル上げ・作業がないとクリアできない場所」も「ゲームクリアに影響するほど取り返しのつかない失敗」もゲームの中に存在しない。

それを何度も何度も繰り返していく。攻撃力や防御力がないところからのスタート、セーブのやり方がわからないとつまづくところ、必要な技を取得してないとやられる敵、ルールを把握してないと倒せないボス(これが4体ぐらい?)
…難しさとゲームのコンセプトがきっちり一致してる。要所要所で考えないと理不尽に見えるほど簡単にやられたり、ポイントをムダにしていく。だけど、取り返せないミスはないからやり直しながらルールを把握していけばちゃんとクリアできる。


シンプルだからこそ、見たことないゲーム

はっきり言えば、このゲームと広い意味で類似してるゲームは確かに存在するし、ゲーム画面を見てすごくやりたいとも感じなかった。
だから、個々の部位を見てこのゲームをやるのを渋った人の感性は正しいと思うし、僕自身あまり期待してなかった。

ただ、雪道というタイトルとゲームシステム、ストーリー(セリフ)、イラストが出す雰囲気がしっかりと一致しているからゲームとしての芯の強さがあり、目新しい斬新なゲームに僕には映った。

雪道を思わせる代わり映えのしない風景・孤独や寂しさを連想させる台詞にキャラクター・雪道という先の見えなさや恐怖感を忠実に再現したゲームシステムや敵の存在。とにかく、ゲームに対して前のめりになることができた。四六時中緊張感のあるプレイができたからストーリーやプレイ時の細かいところにも気を配ってゲームができた。

 

最初から最後まで前のめりにゲームができ、ストーリーパートとRPGパートのバランスもそれぞれの盛り上がりやプレイヤーのやる気に応じて調整されていて、最後のほうにはどちらにも気を配れるように作りこまれてた。


前半はRPGパートでのルール把握と孤独で先が見えない怖さのある雪道の雰囲気を重視。中盤ではそれまでイマイチつかめなかったストーリーを理解しやすく進展させ、RPGは抑えめに。RPGで若干山場を入れた後に終盤に向けた演出バトル(?)を入れて、ストーリーを強く意識させる。


「ゲーム性と世界観→ストーリー→またゲーム性→それぞれの山場」といった順番でうまくゲームとストーリーが交互して楽しくなる落とし所を作っている。

 

全体を見る構成力とプレイヤーを意識したゲーム作りがほんとうにうまかった!

そして、このゲームをプレイすることで改めて「ゲームとは総合エンタメであって、個々の素晴らしさをうたってもゲームとして貫いていること、ユーザーに体感してほしい感覚やコンセプトを落とし込めてないゲームは大事だ」と思い知らされた。
これはスマホでゲームをしてる時も同じだ。特に美男美女や優れたグラフィック、斬新なゲームが作れてなくても「これを体験させたくて、この仕掛けにしてるのか」という製作者のやりたいことがくっきりと見えた時が一番ゲームが面白く感じる。

 

スマホの場合は「宣伝して絵になるゲーム」が重視されるあまり、絵・音楽・シナリオ・ゲーム性がそれぞれにクオリティが高いが、まとめてみた時にチグハグになるゲームをたまに見かける。
しかし、フリーゲームの場合は全く逆。シナリオやゲーム性をタイトルやプレイヤーに一番体感して欲しい感覚とフィットできる代わりに、製作者が少ない。できることが限られてるから絵や音楽、素材まで洗練されているものが少ない。でも、面白くなってるものをちらほら見かける。(ダメなものもあるけど)

 

確かにフリーゲームはチープで、どれもこれも同じものに見える作品が多い。素材、製作ソフト、影響を受けたゲームが似たり寄ったり。

でも、ゲームに大事な本質…「最高の素材を提供する農家や漁師がいい料理をつくる」のではなく、「良い料理人が素材をまとめあげ、きっちりと伝えたいこと・やりたいことを明確にして、伝えたい人のリアクションを想像できた時に良いゲームができる」ということを抑えた良作も多い。

 

そして、作ることに対して制限が多いからこそ、システムや難易度の調整、ストーリー/キャラ/演出がうまくまとまってる時に、ゲームを通じてしたいことがくっきりと浮き上がる。

 

もちろん、なおかつ絵が綺麗、ドットや音楽選びが秀逸なら嬉しく、僕自身ゲーム製作者の中でも「この人の絵が好き」と言う人は何人かいる。
だが、最優先はゲーム性と世界観/キャラ周りだ。個々の素材がいいならその人のサイトに行ってその人だけを愛でればいい。


時間かけてゲームする以上、のめり込んで時間を忘れるほどゲームについて考えこむ・仕掛けやしたいことをじっくり読み取っていきたいのだ。
このゲームはプレイしていくことで製作者と思考や演出を読み取る会話ができたような気がした。そのことが僕にとってはとても楽しめた。

 

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次回紹介するゲームのヒントです。ただ、予定なので100%これとは限らないです。 

 

 

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