春樹さん、こんにちは。香川県在住だけれども、うどんはあまり食べない公務員27歳です。学生時代はいわゆる「村上春樹中毒」で、春樹さんの書いたものならなんでもという具合に読み漁らせていただきました(もちろん今でも熱心な読者です)。私は小説を書きあげたことがないのでうまくイメージができないのですが、たとえば長編小説を書いていて何度も書き直しをされると思うのですが、それはどういう段階で「作品」として仕上がったと確信されるものなのですか? なにか決め手のようなものがあるのですか? 春樹さんに質問しても「そんなことうなぎにでも訊いてくれ」と一蹴されるような気がしてとまどっていましたが、思い切ってメールしてみることにしました。それでは。チャオ。
(S太郎、男性、27歳、公務員)
画家のジャクソン・ポロックは例の「絵の具まき散らし絵画」で有名ですが、ジャーナリストに「いったいいつ、その絵が完成したってわかるんですか?」と質問され、「セックスと同じだよ。終われば終わったってわかる」と答えていましたが、僕もだいたいそれと同じです。終われば終わったってわかる。
村上春樹拝