大型の学会時「宿足りない」 新幹線開業後の金沢、主催者苦慮
北國新聞社 1月28日(水)4時0分配信
北陸新幹線開業後に金沢で開催される大型学会の主催者が、宿の確保に苦慮している。参加者5千人規模以上の大会では、金沢市内のホテルや旅館だけで間に合わず、加賀や能登の宿泊施設にも手を伸ばす例が目立つ。「新幹線があれば金沢の会場へ十分に通える」として、県境を越えて高岡、富山のホテルを押さえる流れも一般的になりそうだ。
金沢市によると、市内の宿泊施設111軒の総客室数は2013年12月末現在で8440室あり、総収容人数は1万4787人となっている。
4月18日に開幕する日本泌尿器科学会総会には全国から約7千人が参加する。開幕まで3カ月を切った今も全員分の宿を確保できていないという。
総会を主催する金大附属病院泌尿器科の並木幹夫教授・同病院長によると、金沢市内のホテルはもちろん、新幹線沿線の富山や高岡、県内では小松市のホテルなどにも足を伸ばし、部屋確保の交渉を行っている。
並木教授は「7千人の他に家族や製薬会社の関係者も来る。期間も4日間と長く、金沢だけでは到底収まりきらない。対象地域を広げざるを得ないが、断られるケースも多い」と話す。
旅行代理店を介する場合、宿泊予約者が学会参加者かどうかは分からないことが多いが、グランドホテル白山(白山市)は「学会の関連客はかなり入っているはずだ。影響は大きい」とみる。
ドーミーイン富山(富山市)の担当者は「旅行代理店から『石川の大きな学会で金沢で収まりきらなかった場合はお願いします』と頼まれた」と話した。
「富山から福井、北は七尾まで、民宿も含めて手作業でピックアップしている」。17年3月開催の日本循環器学会学術集会の金沢大会長、金大医学系の山岸正和教授はこう話す。
参加者は国内最大規模の1万8千人が見込まれ、目標の1万室を早い段階で確保しようと、準備を進めている。
金沢での滞在を楽しみに訪れる参加者もおり、市外の宿確保は次善の策というが、山岸教授は「会場は全て金沢駅周辺に集約しており、富山から20分余りで着ける。忙しい人は東京から日帰り参加もできる」と「新幹線効果」を強調する。
大型学会の開催時に金沢市内のホテルで軒並み予約が困難になり、公共の宿に問い合わせが増えることも予想され、県青少年総合研修センター(金沢市)では、毎年研修で利用する企業などに対し「予約はいつもより早めに」と呼び掛けている。
県のまとめでは2015年度、県内で開催される参加者1千人以上の全国大会は50件、累計参加者数は約28万人と、いずれも過去最多となっている。
北國新聞社
最終更新:1月28日(水)8時26分
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