アングル:今春闘は中小企業の賃上げに不透明感、格差拡大も
[東京 6日 ロイター] - 雇用者の7割を占める中小企業の今年の春闘は、前年を上回るか否か不透明感が強い。急激な円安の悪影響を受け、収益が大きく二極化しているためだ。
月額賃金水準で大企業と10万円の差がある小規模企業は、昨年賃上げ率がほぼゼロ。非正規も含めて今年の賃上げが昨年比でどうなるか、消費に対する影響の観点からも注目度が高い。また、格差を広げないため、新しい労働配分ルールを構築すべきとの声も専門家から上がっている。
<中小企業の業績は二極化、利益率伸び悩み>
「アベノミクスは、格差拡大に寄与している」──。 組合員35万人を擁する中小金属機械産業労組「ものづくり産業労働組合」(JAM)の真中行雄会長は、4日に外国特派員協会で会見し、大企業が最高益を背景に賃上げ拡大機運となってのとは対照的に、中小企業の春闘は厳しいと強調した。
今年の春闘でJAMが掲げているのはベア9000円、賃上げ率に換算すると連合の掲げるベア2%の目標を上回る3%という高い目標だ。
拡大しつつある大企業との所得格差を少しでも縮めようと、高めの要求を打ち出した。真中会長は「増税分に見合う賃上げを確保して、組合員の生活を守りたい」と訴える。
しかし、今年の春闘で平均9000円のベア実現は、JAMにとっても極めて不透明と会長自身も強く認識している。
背景にあるのは、円安が中小企業のコストを増加させるという構図だ。素材産業や非製造業を中心に、円安が輸入原材料のコストを引き上げ、規模が小さい企業ほど経常利益を圧迫するかたちになっているという。 続く...