居酒屋などでの料理のネタとして愛されてきたホッケの不漁が深刻化している。「大衆魚」とも呼ばれ、水族館の動物のえさにもなっていたのだが、漁獲量が減って値段が上がり、えさとして使うことなどとんでもないという状況だ。出てくるものも一昔前に比べたら驚くほど小さい。なぜ、ホッケはこんな魚になってしまったのか。
東京・築地のマグロ仲卸「鈴与」の3代目で、魚食の問題点についての発言も多い生田与克さんは近著「あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか」(角川学芸出版)の中で、乱獲で減ったニシンの例を挙げ「居酒屋のホッケが小さくなり、漁獲量が落ち込んでしまっているのも、ニシンと同じくひとえに乱獲が原因だ」と書いている。
小さくなったホッケは、乱獲で大きな魚が減った結果、大量に捕られるようになった卵を産む前の未成魚だ。
水産総合研究センターの資源評価によると、日本の沿岸にいるホッケのグループ(系群)三つのすべての資源レベルが「低位」で、しかも減少傾向にある。
海域にもよるが、ホッケ同様に資源が低レベルで、しかも減っている魚は、イカナゴ、マサバ、マアナゴ、トラフグ、スケトウダラ、ハタハタなど数多い。このままでは5年後、10年後の居酒屋やすし店にどんな魚が残っているだろうと心配でならない。
小さくなったホッケは、われわれが魚の捕り方や売り方、食べ方を考え直すべき時にあることを教えてくれているのだ。(K)