Updated: Tokyo  2015/03/04 17:02  |  New York  2015/03/04 03:02  |  London  2015/03/04 08:02
 

デフレリスクが効果そぐ各国中銀の緩和策-実質金利が上昇

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  (ブルームバーグ):デフレのリスクと闘う各国・地域の中央銀行が苦戦を強いられている。消費者物価が横ばいで推移し、商品相場が下落する中で、これらが名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利を押し上げる方向に作用し、事実上のゼロ金利政策の効果をそいでいるためだ。

実質金利が上昇すれば、金融政策当局者の思惑に反し、消費者や企業にとっては支出よりも貯蓄の魅力がそれだけ強まることになる。

カナダのモントリオールを本拠とする証券会社パビリオン・グローバル・マーケッツによれば、先進各国・地域の実質金利は2009年のリセッション(景気後退)以降マイナス圏にあり、11年にはマイナス2%を下回った。

だが、現在の水準はマイナス0.28%近辺で、プラスに転じる方向にあり、金融刺激策の威力が低下することになりそうだと、パビリオンは指摘している。

同社のピエール・ラポワント、アレックス・ベルフルール両氏は先週の顧客向けリポートで、「実質金利がマイナスの状態は終わりつつある」とし、「もはや景気の下支えにはならないというのがその趣旨だ」と説明した。

日欧には難題に

同社によると、3年前に5%だった世界のインフレ率は2.8%に低下。仮にインフレ鈍化が続けば、実質金利は一段と押し上げられることになる。経済の力強さが増す米国の場合、こうした事態に対処できるかもしれないが、景気回復と物価のいずれも勢いを欠いたままの日本とユーロ圏の当局者には一層手ごわい課題となる。

ブルームバーグのデータでは、年初にマイナス0.25%だったユーロ圏の実質金利は物価低下に伴ってプラス0.35%に上昇した。

ただ注意すべきなのは、原油相場の下落がインフレ鈍化の主因である点だ。パビリオンの推計では、エネルギー価格を除いたインフレ率で見れば、先進国の実質金利はマイナス1.2%と、09年のリセッション以来の最低水準からそれほど離れていない。

一方で、新興市場諸国の実質金利は平均でプラス3%近辺と、約10年ぶりの高水準近くにあり、その影響は顕在化している。例えば中国の場合、昨年は約25年ぶりの低成長にとどまった。

パビリオンは「これが新興市場の経済活動停滞の一因となったのは確かだ」としている。

原題:Deflation Risk Frustrates Central Bankers’ Easy Money Campaigns(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:パリ Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Hertling jhertling@bloomberg.net Zoe Schneeweiss

更新日時: 2015/03/04 13:06 JST

 
 
 
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