記事詳細
医療現場の労務を軽減させた堺の中小企業のスゴ技…車いすに着脱可能な点滴スタンドの中身
激務で知られる看護師の業務。医療現場は今もマンパワーに支えられている。わずかな工夫で作業の一部分でも軽減できたら-という発想で生まれたのが樋原製作所(堺市)の点滴ポールスタンドだ。車いすに取り付け可能、点滴をしたまま患者を移動しやすくし、点滴の重みでポールが急に落下しないよう独自技術を凝らしたのが特徴だ。
従来は車いすの患者に使用する場合、下部にキャスターを取り付け、移動が終わったら取り外す作業を繰り返していた。キャスターの付け外し作業は隠れた負担となっていた。
「車いす専用スタンドはないものだろうか」。大阪商工会議所のイベントを通じ病院から寄せられた声がきっかけとなった。本業は液晶の製造装置の部品製造だが、国内電機メーカーの不振で受注が減っていた。ワンタッチで約90センチから130センチまで伸縮自在に。従来のスタンドも高さ調節はできたが、ポールの側面にネジを押し当てて止める方式が主流で、点滴の重みでポールが急に落下することもあったという。ポールの内部に特殊な加工をした直径5ミリ弱の鉄球を入れてブレーキの役割をさせるなどして20キロまで耐える構造とした。樋原壽一社長は「今後も現場の声を生かした医療関連器具を開発したい」と話す。