前回は国内大手IT企業ののれんについてまとめましたが、今回は海外大手IT企業6社ののれんに関する情報を整理いたしました。
のれんの償却に関しまして、日本基準とIFRS、米国会計基準との間には下記のとおり相違があり、国内企業と海外企業の単純な比較は難しくなっております。
日本基準:20年以内に定額法その他合理的な方法により償却
IFRS:償却は行わず毎期、減損テストの対象となる
米国基準:のれんの償却は行わず最低年に一度減損テストを実施する
日本と海外の会計基準の違いにも注目して頂き、前回記事と今回の大手海外IT企業ののれん情報が参考になりましたら幸いでございます。
大手海外IT企業ののれんと純資産(2014年12月末・1$=118円換算)
Microsoft
のれん残高:2兆5,788億円
のれん/純資産:24%
主なのれん残高:スカイプ社など
2011年5月には約7,000億円でスカイプ社を取得したMicrosoft社ですが、2014年には、ノキア社の携帯電話事業取得完了に伴いのれんが約6,400億円新たに計上されました。のれんの減損につきましては、2012年2Q決算において、2007年に取得したインターネット広告のアクアンティブ社に係る減損損失約4,900億円を計上したことがありました。
のれん残高:2兆1,217億円
のれん/純資産:50%
主なのれん残高:WhatsApp社、Oculus社など
WhatsApp社がFacebook社に2兆円近い金額で取得されたのは記憶に新しいと思いますが、Facebook社ののれんは、このWhatsApp社取得によるのれんが大部分を占めており、のれん/純資産比率は50%を超えております。
のれん残高:1兆8,359億円
のれん/純資産:15%
主なのれん残高:Nest社など
2014年1月にスマートホーム家庭用ハードウェア企業のNEST社を約3,300億円で取得しております。直近では2014年10月に人工知能の技術を持つDark Blue社とVison Factory社を600億円以上で取得したとの報道がありました。
Alibaba
のれん残高:7,736億円
のれん/純資産:27%
主なのれん残高:AutoNavi社など
2014年の海外IPOは、アリババのニューヨーク証券取引所への上場で盛り上がりました。時価総額は一時30兆円に近づきましたが、勢いそのままに2014年の1年間で36社もの投資・M&Aを実行したとのことです。2014年7月に地図ナビゲーションアプリサービスのAutoNavi社を約1,540億円で完全子会社化しております。
Apple
のれん残高:5,462億円
のれん/純資産:4%
主なのれん残高:Beats Electronics社など
先日発表された2015年1Q決算で全企業の四半期売上史上最高を記録したアップル社ですが、直近のM&Aは2014年8月にヘッドホンメーカーのBeats Electronics社を約3,000億円で取得しております。のれん/純資産比率が4%と他の海外大手IT企業と比べると少なくなっております。
Amazon
のれん残高:3,916億円
のれん/純資産:31%
主なのれん残高:Twich社など
靴ECのZappos社、ベビー用品ECのQuidsi社、ロボット開発のKiva Systems社など、多数のM&Aを実行してきております。直近では2014年8月にゲーム動画配信サイトのTwitch社を約1,000億円で取得しております。
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