クラウドソーシング活用による地方活性化で“地方エンジニアの役に立つ”
これまで、いわゆるITベンチャー企業の立ち上げをテーマにした仕事を数多く経験してきました。“ゼロからイチ”にしていくチャレンジは大きな苦労を伴う反面、形となるやりがいは非常に刺激的で、面白かったですね。その一方、1から10にする領域、つまり「事業を成長させていく」点に関してはこれまであまり手掛けてこなかったので、そろそろチャレンジしたいと思っていました。
そこで目にしたのが、ランサーズ。クラウドソーシングには以前から興味があったことと、「時間と場所にとらわれない新しい働き方を提案する」というビジョン、さらに人を大事にする社風に共感しました。特にランサーズを通じて、案件が少なくなかなか魅力的なテーマにチャレンジできない地方エンジニアを支援できる点に大きな意義を感じ、「何とかしてこのサービスをもっともっと飛躍させたい」と強く思ったことが、最終的にランサーズへの入社に至った経緯です。
課題は情報の可視化。全社で共有し、積極的に発信できる仕組み作りに挑戦
ランサーズは今でこそ、日本最大級のクラウドソーシングサービスを展開していますが、創業したのはたった6年前。さらにここ1~2年で急速な成長を続けてきたため、そのスピードに対応しきれず、社内の開発体制に大きな課題を抱えた状態でした。今後、さらに開発スピードやクオリティを高め、やがて世界へ本格的に進出するための新たな体制・仕組み作りこそ、私が取り組むべき最大のテーマ。そこで目指したのは「情報の可視化」でした。
ベンチャー企業にありがちな、仕様やドキュメントに残さず「暗黙知」で開発を進めるスタイルを刷新するため、様々な取り組みを行っています。社内勉強会で効果のあった開発事例を発表しつつ、ドキュメントに残す。その上で、開発メンバーが自分たちで新たな課題を探し、解決のためのチャレンジを自ら考え、実施。その結果を発表するといった仕組みをつくることで、一人ひとりの考えや取り組みを可視化し、社内共有できるようにしました。他にもランサーズに登録している方を対象に行っている勉強会「週末ランサーズ」に登壇する機会を設けることで、社内で勉強するだけでは限界のある最新技術や幅広い知識共有を図るチャンスを広げています。
最後までやりきる力が今、エンジニアに求められている
実は今私が取り組んでいるような課題に対しての問題意識は、開発メンバー全員が持っていました。でもそれを自ら指摘し、改善していく“きっかけ”がなかったから、私がそのきっかけを作ったに過ぎないのです。今、エンジニアに求められている能力は、自ら考え、チャレンジし、最後までやりきる実行力だと思っています。その点、ランサーズの開発メンバーはそうした実行力を“潜在的”には持っていた。だからその潜在している能力を引き出すきっかけを作れば、必ずもっと大きな成果を発揮できるはずと確信していました。そういう意味ではまさにこれからが、本領発揮のフェーズに入っていくことになるので、私自身大いに期待していますね。
謙遜・尊敬・信頼。人を動かす力が今、自分に問われている
では私自身に今、問われている力は?それは「人を信じ、動かす力」だと考えます。人を信じ続けることは、簡単なようでとても難しい。特に難易度の高いテーマにチャレンジする場合、誰かに任せるより自分で対応してしまったほうがはるかにラクです。しかし、私はランサーズの開発メンバーが持つ「最後までやりきる力」を信じます。疑うことに時間を割くより、メンバーを信じてサービス改善やクオリティアップに全力を注ぐほうがはるかにいい。
もちろん、私もメンバーに対して意見は言います。しかしその場合も無下に「こうしろ」というのではなく「君のいう考えもいいけど、こんな考え方もあるよね」と選択肢を提示した上で、それに対する考えを聞いて最終的に自ら判断する、という姿勢で臨む。それが社員をリスペクトし、信頼につながっていくのです。今後、本格的に世界進出していくために開発メンバーの力を信じ、さらにその力を自由に発揮できる環境を作るためのチャレンジが続きます。
ランサーズ株式会社
CTO 田邊 賢司 氏
これまで様々なIT・Webサービスを展開するベンチャー企業の立ち上げにおいて、技術的な領域を中心に担当。前職ではシステム開発からサーバサイド、カスタマーサポート、品質保持まで広範囲にわたり実質、一人で対応する等マルチスキルをいかんなく発揮する。2014年4月、ランサーズに入社。