最近、「皆が知っている曲が少なくなった」や「ヒット曲なんてないよね」といった書き込みが、ネットではしばしば見られます。
ひいては「自分だけの音楽があれば、何もヒットしなくても良いのだ」なんて強気(?)な発言まで。
一般リスナーだけではありません。イベンターや放送局などエンタメ業界の人でも「昔のように今のヒット曲が浮かばない」と嘆く声が聞かれるのです。
その都度、私は、「いえ、この曲もあの曲もヒットしていますよ」とやんわり反論するのですが、「それはあなたが音楽オタクだから、そう思うだけでしょ?」と突き返され、なんだか、今の現場で頑張っている人たちまで否定されたようで悔しくなります。
今回は、近年のヒット曲について検証してみます。客観的なデータに基づき、「ヒット曲は有るのか無いのか」検証してみようというわけです。
ヒット曲を見るなら、1月第3週のシングルダウンロード
どのようなデータを使うのかですが、ここでは、毎年末、「NHK紅白歌合戦」や「ミュージックステーションスペシャル」などの大型特番などの影響で、前年のヒット総決算が現れやすい1月第3週にスポットをあててみました。
「年間の売り上げ枚数ではないのか?」と疑問を持たれそうなので、最初に説明しておきましょう。かつてはオリコンでのCDセールスでヒット曲を探すのが一般的でしたが、ここ数年は、オマケや多種類販売による複数枚購入促進がエスカレートしていて、そのヒットが「楽曲」由来なのか、「複数購入」由来なのか分かりづらい。そこで、そのようなことが起こりづらいダウンロードシングルの売り上げで見ることにします。
そして、なぜ「年間ではなく、1月第3週を見るか」についても説明します。年間チャートだと、年の初めに発売された作品が、年の後半に発売された作品に比べて有利となり、公平なヒット感を見ることはできません。それに比べ、1月第3週ならば、前述の紅白や音楽特番の効果で、発売月に関係なく「前年の人気曲が再浮上」するのです。そのほうが、より公平にヒット曲を見ることができるというわけです。
なお、00年代中ごろまでは、ダウンロードは10代・20代など若い世代に偏っていましたが、最新の日本レコード協会調べによると、年代別で見た現代のダウンロードシェアは、「中学生〜20代」、「30代・40代」、「50代・60代」がいずれも33%台とほぼ均等になっています。
では、さっそくご覧ください!
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