ウクライナ:ガス供給停止問題でプーチン大統領も警告
毎日新聞 2015年02月26日 11時18分
【ブリュッセル斎藤義彦】ロシア国営ガス大手ガスプロムがウクライナ向けのガス供給停止を警告している問題で、プーチン露大統領は25日、ウクライナがガス代を支払わず、ガスが停止されれば「欧州へのガス供給にも脅威となる」と警告した。また、ウクライナ側が親露派武装勢力の占拠する東部へのガス供給を停止したことを「大虐殺だ」と激しい調子で批判した。
プーチン大統領は、ガス停止を「望んでいない」としながらも、「ウクライナの財政次第だ」と指摘。ガスプロムとウクライナ側の契約上、さらなるガス代の前払いが必要との考えを示し、支払いがなければガスは止まり「もちろん欧州のパートナーへの脅威となる」と述べた。
この問題はウクライナ側が18日、戦闘でのガスパイプライン破損を理由に東部の親露派武装勢力支配地域へのガス供給を停止。これに対しガスプロムは24日、ロシアからウクライナ向けのガスが2日以内に止まると警告した。ウクライナは欧州連合(EU)の仲介で昨年、ロシアと交渉。その合意に基づき来月までの支払いは終えたと反論している。
プーチン大統領は記者会見で「想像するがいい。(東部の)市民は冬にガスがないまま取り残される。(エネルギーの)欠乏だけではない。虐殺のようだ」と激烈に批判した。専門家は、ロシアが親露派武装勢力の実効支配地域を広げながら、年金など生活資金やインフラ確保はウクライナ政府に面倒を見させ、ロシア側に財政負担がない形で不安定化工作を行おうとしているとみている。
ロシアが欧州向けのガス停止に言及したことについて、ドイツのメルケル首相は25日、ロシアにガスを依存する東欧などの国が「困難な事態に陥りうる」と憂慮を示した。首相は、旧ソ連が冷戦時代もガスを供給した点をあげ「信頼できる供給源であるが、ロシアだけに依存することには賛成しない」とロシアに逆に警告した。