焦点:ギリシャのユーロ離脱、財政緊縮以上に「いばらの道」
[アテネ 12日 ロイター] - ギリシャのユーロ圏離脱、いわゆる「グレグジット」は、起きるとすれば恐らく電撃的な形で実行されるだろうが、それは同国にとって長くつらい道のりの始まりともいえる。ある面では、国際支援プログラムの下でこれまで歩んできたよりも厳しい状況が見込まれる。
急進左派連合(SYRIZA)を中心に誕生した新政権は、ユーロにとどまりたいと考えている。だが2月末に期限を迎える現行の支援プログラムを延長するか、あるいはそれに代わる支援の枠組みを設定することで欧州連合(EU)側と合意できなければ、財政破綻やデフォルト(債務不履行)によって、いやでもグレグジットに追い込まれかねない。
もしもユーロから離脱すれば、ギリシャ経済に対して残っている信頼感は消滅するので迅速な政策対応が必要になる。
制御できない資金逃避を食い止めるためには資本規制の導入は不可避だろう。銀行や金融市場が閉鎖された場合、そうした規制が発動されるとみられる。
次に政府が必要になるのは新通貨だ。この新通貨は歴史的にみれば導入時から非常に弱く、既に資金難に苦しむ多くのギリシャ国民や地元企業が多額の貯蓄を失うかもしれない。それに伴って物価上昇率は急激に跳ね上がる。
EUと国際通貨基金(IMF)が課した緊縮政策で、国民の4人に1人が失業する事態になった。だがグレグジットは、少なくともしばらくの間はそれよりもひどい痛みをもたらす可能性がある。
通貨切り下げは一部のセクターの競争力を高め、例えば外国人旅行客にとってギリシャ滞在の費用は安くなる。しかしユーロ圏の外で実際に生活していくのは、一層苦しくなるだろう。
レイル・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、フランソワ・サバリ氏は「ギリシャ経済はユーロとしっかりつながるという決断によって破壊された。それは1つの政治的な決定だったが、今やユーロ圏を去って何か新しいものを再創造するのは簡単ではない」と指摘した。 続く...