「今や、これがビジネスを始めるのには最高に面白い方法だ。特にまだだれもやっていないからね」
私の隣に座ったその男性が語るビジネスの話は最近聞いたなかでも最も洞察力に富んでいる。彼の考え方がありふれていないだけではない。この会話をした場所も普通ではない。コーヒーショップやオフィスの片隅ではなく、我々は配車サービス、ウーバーテクノロジーズの車に乗っており、彼は私の運転手である。
名前はガビン・エスコラール氏。カリスマ性を感じさせるフィリピン人で、オレンジと赤のストライプ柄のシャツといういでたち以上に派手に笑う。バレンシア通りを流しているとき、私はダッシュボードの上にダイヤモンドのイヤリングがぶらさがっているのに気づいた。彼の腕にはエメラルドのブレスレットが太陽を浴びて輝いている。座席のポケットにはきらびやかなジュエリーのカタログがある。表紙には「ガビン・エスコラールコレクション2014」とあった。
■「移動ショールーム」
そうか。私はガビンの車に乗っているのではない。これは彼の移動ショールームだ。彼はただのウーバーの運転手ではない。もちろん、単なる起業家(アントレプレナー)でもない。彼はいわば「ウーバープレナー」。配車サービスであるウーバーを自身のジュエリービジネスの宣伝に活用している。
もっと赤信号にひっかかってほしいとさえ思うようになった。ガビンの話をもっと聞きたい。ガビンによると、彼はフィリピンから移住してサンフランシスコでジュエリー会社を始めた。始めた当初はなかなかうまくいかず、生活のためにウーバーの運転手になったという。
運転手になった当初、ガビンは「お客さんを乗せて驚いた」と振り返る。「乗客は黙っているか電話でもしているだろうと思った。でもほとんどの乗客は話をしたがった。それで私が自分のジュエリーの話をすると、名刺はないかと尋ねる。残念ながらそのときは用意していなかった」
それで彼はひらめいた。名刺だけ? いや、自分のジュエリーを見せてみたらどうか。
ガビンは自分の車をショールームに仕立てた。ジュエリーをあらゆるところに置いて、これ以外にも助手席前にジュエリーの在庫を用意した。
「お客さんは自分から会話してくるんだ」という。「私から売り込むことは決してしない。お客さんが気づいたら、会話の糸口になるようにさりげなく情報を盛り込む。もし気づかなければ、そのお客さんは私の(ジュエリーの)顧客にはならないだろうということだ」
「今や、これがビジネスを始めるのには最高に面白い方法だ。特にまだだれもやっていないからね」私の隣に座ったその男性が語るビジネスの話は最も洞察力に富んでいる。…続き (2/12)
大躍進政策(1958-60年)の時代、数千万人もの人々が「餓死者」となり、食料不足の苦い記憶が今も消えない中国で、牛乳が廃棄される光景を見るのは痛ましい。…続き (2/7)
米フォード・モーターがIT業界との結びつきにさらに意欲をみせている。22日開かれたイベントで、フォードはスタンフォード・リサーチパークで新しい研究センターを公開した。…続き (1/29)
各種サービスの説明をご覧ください。