民主党は岡田克也新代表をトップに新たな執行部体制で再スタートした。岡田代表は枝野幸男幹事長を続投させたうえで、代表選で争った、細野豪志氏を政策の要である政調会長、長妻昭氏を代表代行に起用し挙党態勢をアピールする布陣にした。当面は春の統一地方選と来年夏の参院選に向けて党勢挽回が急務。経済や安全保障などの政策と野党再編をめぐる党内意見集約が進まない中で、新代表がいかにリーダーシップを発揮できるかが、再生の足がかりへのカギになりそうだ。
岡田氏は1月22日の両院議員総会で「党再生に向けオール民主党を体現した人事だ」と党内の結束を訴えた。自らが新たに党改革を進める「党改革創生実行本部」の本部長に就く。同氏は代表選中のインタビューで「党結束に努力するのが代表の役割だ。党内で議論し、決まったことはきちんと進めるという当たり前のことができるよう、一人一人に危機感や覚悟を求めたい」と語り、党の改革はまずは結束からという思いを強調していた。
そのほかの主要幹部は、一時は代表選への意欲を見せた蓮舫元行政刷新担当相が代表代行に就任。野党共闘の前線を仕切る国会対策委員長には高木義明元文部科学相を充てた。岡田氏は自身のブログで「高木さんは同期のベテラン。安住(淳元財務相)さんが代理として支えるという構図になり、非常にいい『オール民主』のバランスのとれた配置になった」と自賛している。選対委員長には政調会長を務めたこともある玄葉光一郎元外相を起用するなど、経験豊富な人材をそろえている。
また、元厚生労働相でリベラル勢力に後押しされて代表選に臨んだ長妻氏は、岡田氏の要請で格差是正策などを検討する新たな「共生社会創造本部」の責任者に就いた。通常国会では、党内切っての論客で「首相が最も嫌いな民主党議員」(官邸関係者)と言われる枝野氏と岡田氏が「二枚看板」で安倍晋三首相に論戦を挑んでいる。
民主党は、党勢回復への最初のステップである4月の統一地方選のテコ入れのため、昨年12月の衆院小選挙区で落選した全候補者を5月末まで引き続き同党の支部長として活動費を支給することを決めた。3月1日に定期党大会を開催し、新体制での取り組みについて地方議員や党員とも確認し、周知徹底する方針だ。
民主党は野党第1党とはいえ衆院で73議席しか持たず、自民・公明の巨大与党に対してあまりにも劣勢だ。かねてから野党第2党の維新の党などとの再編論が党内でくすぶっていた。代表選では3候補とも自主再建を強調したが、細野氏が野党再編を唱えていたことを岡田氏が〝暴露〟するなど、今後、路線を巡る意見対立が起きる可能性が消えたわけではない。その余波で維新の党との関係が冷え込み、同党の江田憲司代表は22日の記者会見で「党基盤の強化に注力し、野党再編は当面封印する」と、岡田民主党とは距離を置く考えを示した。国会での野党共闘に影を落とすおそれがある。
路線対立を鮮明にするきっかけは政策論議かもしれない。保守系から中道、労組をバックにし旧社会党系、さらに市民派など思想や支持基盤、政治スタンスが違う議員の寄せ集めの党イメージは、政権与党を経験しても尾を引いている。
代表選の3候補はアベノミクスへの評価は、「富がしたたりおちるトリクルダウンでは限界」(細野氏)など大企業を優先した経済対策は失敗、との認識でほぼ一致しているが、最大のネックは安全保障政策だ。
- 岡田新体制で再生なるか 挙党態勢を重視 細野氏を政調会長に起用[民主党] (2015.02.12)
- 学習指導要領の改定作業始まる 英語教育、新科目、課題解決型学習の指導法などが柱[教育] (2015.01.24)
- 起業経費も特別交付税対象に 地域おこし協力隊の支援拡充今年度から[地方創生] (2015.01.23)
- 霞が関ふるさと記 経産省の立岡事務次官は灘OB[兵庫県・中] (2015.01.20)
- 外国人向け無料Wi-Fi整備拡充 利用手続きの簡素化・一元化 総務省と観光庁が協力[観光振興] (2015.01.19)
-
住みたい街2015【沿線革命020】 羽田空港へは新幹線の新線を作るべきだ! (2015.02.12)
-
-
スポーツ[BCリーグ] 富山・吉岡雄二監督「見えた成長、残された課題」 (2015.02.12)
-
-
愛の履歴書田原総一朗(前編)「男と女の関係は、悪いと思っていてもやめられない”業”のようなものだと思う」 (2015.02.12)