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バター不足で輸入の対応を見直しへ
1月24日 16時41分

家庭用バターがクリスマス前の需要期に品薄とならないよう、農林水産省は輸入バターを乳業メーカーに引き渡す期限を早めるなど、これまでの運用を見直すことになりました。

農林水産省は、バターなどの乳製品を国際的な取り決めに基づいて、毎年、決められた量を輸入し、在庫不足が懸念される場合は追加で輸入しています。
しかし去年は、生乳の生産量が落ち込んでバター不足となったため、2度にわたり追加輸入する事態になりました。
家庭用バターがクリスマス前の需要期に品薄となり消費者に不安を与えたことから、農林水産省はバターを輸入する際の運用を見直すことになりました。
具体的には、輸入バターを乳業メーカーなどに引き渡す期限を、11月末から1か月早めて10月末とします。
また輸入量を決める時期を1月、5月、9月の3回と決めて公表し、在庫不足の懸念から生じる買いだめを防ぎたいとしています。
農林水産省では、こうした取り組みとともに乳業メーカーや業界団体と緊密な情報交換を行って、バター不足が起きないように対応していく方針です。

いまだに品薄のスーパーも

スーパーマーケットの中には、いまだにバターの品薄が続いている店もあります。
東京・練馬区で食品を販売するスーパーでは、十分な量のバターを仕入れることができないため、毎月初めに一定の量が入荷しても、下旬には売り切れてしまう状態が続いているということです。
このスーパーでは、一人でも多くの客にバターを購入してもらおうと、売り場の棚に「お一人様一点限り」と表示しています。
また、バターの代わりに、味がバターに似ているマーガリン類の商品も販売しているということです。
スーパーを訪れた客は「バターはパンに塗ったり料理に使ったりするので、店頭に商品がある時にまとめて購入しています。品薄の状態は困ります」と話していました。
食品スーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長は、「去年の時点では年が明けると、ある程度バターの品薄が改善されると聞いていたが、現実的には全く変わっていない。国内の酪農家が増えないかぎり、根本的な解決は厳しいと思う」と話していました。

不足傾向は続く見通し

農林水産省や乳業メーカーなどで作る業界団体によりますと、バターの原料となる生乳の生産量は、平成25年度までの10年間でおよそ10%減少しています。
また26年度の生産量は733万トンと見込まれ、27年度も同じ水準にとどまる見込みです。
業界団体では、来年度もバターの需要が供給を上回る状況が続くとみています。
バター不足の主な原因は、おととしの猛暑の影響で乳牛に病気が多く発生したこと、牛の餌の価格高騰で酪農家の経営が悪化し乳牛の数や生乳の生産量が減少したことによるものです。
また、生乳は非常に腐敗しやすく、最も鮮度が求められる牛乳や生クリームなどに加工されたあと、最後に保存性の高いバターや脱脂粉乳などに加工されます。
バターは牛乳や乳製品の需給調整弁になっていて、生乳の生産量が減少するとバターの生産が大きく減少してしまいます。
また、生乳の生産量は秋から春にかけて高まりますが、夏場は低くなります。
日本で主に飼育されている乳牛のホルスタイン種が、寒さに強く暑さに弱いためです。

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