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「おっぱい」は誰のものか…京都の研究会が「文化論」出版

母性の象徴であり、性的シンボルでもある乳房。人前での授乳の是非なども度々議論にあがる
母性の象徴であり、性的シンボルでもある乳房。人前での授乳の是非なども度々議論にあがる

 女性の「からだ」と「こころ」に関わる専門家らでつくる乳房(にゅうぼう)文化研究会(事務局・京都市南区のワコール内)が、20年余りの研究内容をまとめた編書「乳房の文化論」を出版した。母性のしるしであると同時に女性のアイデンティティーでもあり、性的な対象にもなる「おっぱい」の不思議を、12人の研究者らが幅広い角度からとらえている。

 同研究会は、医師や助産師、社会学者、被服造形学者ら乳房に関わる専門家が、乳房を切り口に社会や文化、歴史、生活などを考える組織。1991年発足の「からだ文化研究会」が前身で、96年、乳房を多角的に研究するために現在の会へ発展させ、年数回定例会を開いている。

 今回の編書は、約20年の研究の中から文化論的な視点でとらえた乳房の考察を紹介。社会学者の上野千鶴子さんや京都大こころの未来研究センターの鎌田東二教授、北九州市漫画ミュージアム専門研究員表智之さん、京都服飾文化研究財団チーフキュレーターの深井晃子さんら12人の専門家が、関心の持たれ方の変遷、「セックスシンボル」と「母性の象徴」をめぐる議論、美術的な乳房表現、少年マンガでの乳房の描かれ方など縦横無尽に論じている。

 同研究会はこれまで、母乳哺育(ほいく)や育児、性とジェンダー、ファッション、生態学、文化人類学…と180のテーマで研究を重ねてきた。今後は、第2弾として、母乳哺育など自然科学的な研究もまとめる予定。

 病態科学研究所所長の田代眞一会長は「『おっぱいは誰のものか』という視点から、性同一性障害や乳がんなど今日的な問題まで、乳房を切り口にすれば、さまざまな議論ができる。暮らしや文化、社会に対して考えを深めるきっかけにしてもらえれば」と話す。

 淡交社。四六判328ページ。2052円。

【 2015年01月20日 13時56分 】

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