【ワシントン=矢沢俊樹】国際通貨基金(IMF)は20日改定した世界経済見通しで、2015年の世界全体の成長率を昨年10月時点の見通しから0.3ポイント引き下げ3.5%と予想した。ユーロ圏や中国、日本の景気減速が響く。原油安による消費刺激の恩恵が強まる一方、米国など一部を除くと経済活動が中期的に停滞する兆しも強まっており、世界全体として成長が弱含むとみている。
16年の成長率も15年と同様、昨年10月予想を0.3ポイント下回る3.7%とした。15、16両年とも14年(推計)の3.3%を上回るが、回復のテンポは従来予想よりも鈍い。
焦点の原油価格についてIMFは今後の見通しは「極めて不確かだ」と強調。原油急落で原油輸出国が打撃を受けることや、米利上げが国際金融市場の「深刻な不安定化」の引き金となりかねないとも指摘した。原油安などを理由に15、16両年の先進国・地域の消費者物価指数の伸びは1.0%、1.5%とした。15年は昨年10月予想から0.8ポイントの大幅な引き下げとなった。モノやサービスを合わせた貿易量の伸びも15年に大きく減速しそうだ。
国別では米国の成長率を15、16両年とも引き上げた。ドル高の影響で純輸出は減るものの、利上げ後も緩和的な金融政策を続け、巡航速度を超える3%台の安定した成長が続きそうだ。
日本の15年の成長率は0.6%と昨年10月予想から0.2ポイント引き下げた。追加金融緩和や原油安、円安で次第に景気が上向くとみる。ユーロ圏は金利低下やユーロ安がプラスに働くが、新興市場向け輸出低迷などでその効果が相殺されやすいとの見方を示した。
新興国では原油安が追い風となるインド経済が底堅い。IMFは中国について、足元で投資活動などの主要経済指標が弱まっているが「当局はそれほど(財政の)政策対応をとらないだろう」と分析。中国経済の減速がアジア経済の成長を鈍化させるとみている。
IMF、原油安、下方修正
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