仏連続テロ:殉職警官名掲げ、事件批判…イスラム教徒ら
毎日新聞 2015年01月10日 23時04分(最終更新 01月11日 02時43分)
【パリ斎藤義彦】仏週刊紙「シャルリーエブド」の襲撃テロ事件で、表現の自由を守るため同紙に連帯を示すスローガン「私はシャルリー」がフランス全土だけでなく、世界に広がっている。短文投稿サイト「ツイッター」でのツイート(つぶやき)は500万件を超え、米国の駅などでも表示された。一方、週刊紙がイスラム教徒の預言者ムハンマドを風刺していたことから、一部のイスラム教徒は襲撃テロ事件で死亡した警官、アハメド・メラベさん(40)の名を借り「私はアハメド」の名で事件を批判、週刊紙と一定の距離を置いている。
「Je suis Charlie(私はシャルリー)」は事件当日の7日、パリの中心部に集まった市民が掲げ始め、瞬く間に広がった。フランスではパリの凱旋門(がいせんもん)のほか、劇場、路線バスの運転席など至る所に掲示されている。
ツイッターで瞬時に世界に広がり、米ワシントンの駅や、ニューヨークの集会でも掲げられた。米プロバスケットボール協会(NBA)の試合前の練習で9日、ワシントン・ウィザーズに所属するフランス出身の選手が「私はシャルリー」のTシャツで登場、共感を呼んだ。
一方、イスラム教徒の活動家はこのスローガンに距離を置いている。7日のシャルリーエブド社襲撃事件では、付近をパトロール中に駆けつけた警官アハメドさんが、逃走しようとしたクアシ容疑者兄弟に射殺された。活動家はツイッターに「私はシャルリーでなくアハメド。殺された警官です。シャルリーエブド紙が私の神や文化をばかにしたために私は殺された」と書き込み、週刊紙を批判しながらアハメドさんへの支援を訴えた。書き込みを拡散するリツイートは3万2000件(日本時間10日午後7時)にのぼった。
ただアハメドさん自身は宗教心は人並みで、物静かで思慮深く、組合活動などに積極的に参加するオープンな人物だったという。