=急転 知事選= 佐々木氏出馬断念
2014年12月02日 10時29分
■「党裁定」くすぶる不満 自民県連樋渡氏に一本化へ
衆院選に出馬する古川康氏の辞職に伴う佐賀県知事選に立候補を検討していた内閣官房TPP政府対策本部の佐々木豊成国内調整総括官(61)が1日、出馬を断念したことで、自民党県連の推薦候補調整は樋渡啓祐武雄市長に一本化される見通しとなった。県連の「分裂選挙」は回避されるが、今回の出馬断念には、樋渡氏で一本化を迫る党本部の強い意向が働いたとみられる。県連内には党主導の“裁定”に不満もくすぶり、2日公示の衆院選へのしこりを懸念する声も漏れる。
「こんなばかな話があるか。なんで党本部が佐賀の選挙に手を突っ込むのか」。佐々木氏の擁立を働きかけていた県連関係者の一人は、出馬断念の知らせを受け、憤慨した口調で吐き捨てた。
知事選をめぐっては、古川氏の国政挑戦の報道が出た数日後に樋渡氏が出馬の意向を表明し、首相官邸や党本部を訪問するなど素早い動きを見せた。
樋渡氏の出馬に難色を示していた県連や業界団体の関係者らは、水面下で佐々木氏擁立を模索、県内の首長らも支援する姿勢を伝えていた。29日には伊万里市支部から本人署名の推薦願を県連に提出するなど、「ほぼ出馬する方向でまとまりつつあった」という。
ただ、関係者によると、党本部は推薦候補が相次いで敗れた7月の滋賀、11月の沖縄知事選に続く「3連敗」を危惧。樋渡氏を担ぎ、党幹部に近い県内関係者からの要請に加え、佐々木氏が、TPPの国内調整役のトップという要職を担っていることも理由に、最後は「佐々木降ろし」に傾いたとみられる。
佐々木氏の出馬断念で県連に提出された推薦願は樋渡氏だけになる。県議の一人は「形は収まったかもしれないが、党本部のやり方には怒りすら覚える。やってられない」。別の県議は「ここまできたら、間違いなくしこりは残る」と、激戦が予想される衆院選への影響を口にする。
県連は6日に総務会を開いて知事選の対応を協議する。福岡資麿会長は「その日どこまで協議するかは分からない。まずは目の前の衆院選に勝つことを最優先にする」と、県連内の関係修復に努める考えを示唆した。