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「誠実さ」と「熱さ」と「ゴンらしさ」と。インタビュアー・中山雅史に見たサッカー解説者の未来

フットボールチャンネル 11月17日(月)11時21分配信

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「誠実さ」と「熱さ」と「ゴンらしさ」と。インタビュアー・中山雅史に見たサッカー解説者の未来

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「誠実さ」と「熱さ」と「ゴンらしさ」と。インタビュアー・中山雅史に見たサッカー解説者の未来
中山氏がこの日見せたインタビューは、きわめて誠実なもので、乾貴士ほかインタビューを受けた選手たちの表情は常に朗らかだった【写真:Getty Images】
日本代表が手にした“もう1つの収穫”

 14日、豊田スタジアムでホンジュラスとのテストマッチに挑んだ日本代表。就任以降新戦力のテストに重きを置いていたハビエル・アギーレ監督であったが、11月の代表戦では長谷部誠や遠藤保仁、今野泰幸といった2014年W杯を戦ったメンバーを招集し話題となった。

その他の写真付き記事『試合後のインタビュアーを務めた中山雅史氏は高い技量を披露』

 アジア杯前最後に行われる強化試合ということもあり、その選手起用にも注目が集まっていた。

 そして、先発で起用された長谷部と遠藤がチームに安定感をもたらし、酒井高徳も存在感を発揮。豊田陽平や乾貴士も途中出場でゴールを挙げた。6-0というスコアはそれぞれがアピールした結果であり、アギーレ監督にとっても決して収穫は少なくなかったはずだ。

 そんなこのホンジュラス戦では、もう一つの新たな発見があった。それは、インタビュアーとしての中山雅史氏の技量である。

 この日、中継を担当したテレビ朝日は松木安太郎氏と中山氏のダブル解説で試合に臨む。松木氏と中山氏のハイテンションコンビは試合中も上機嫌であり、息のあった解説を見せた。チームのパフォーマンスが影響した部分もあっただろう。

 しかし、この日最大の見せ場は試合終了後にあった。

 試合終了のホイッスルを聞いた中山氏はすぐにピッチレベルへと降り、インタビューゾーンに向かう。そして約7分半にもおよぶインタビューに挑むのだが…これがなかなか立派であったのだ。

選手たちの心を開いた特有のパーソナリティ

 第一線時代、『炎のストライカー』としてゴールを量産した中山氏。そのサービス精神旺盛な姿勢と達者な話術は当時から健在であり、授賞式やテレビ番組ではいつも“ネタ”を用意して視聴者を笑わせていた。サッカー界きってのムードメイカーであった。

 そんな中山氏がこの日見せたインタビューは、きわめて誠実なものであった。おそらく、インタビューした選手たちはいずれも顔なじみなのだろう。しかし、冒頭で必ず「お疲れ様でした」と挨拶をし、インタビューする選手の両目をしっかりと見つめながら、ジェスチャーを交えつつ質問を投げかける。

 中山氏のそういった姿勢に、選手たちの表情は常に朗らかだった。もちろん、6-0という結果がそうさせた部分はある。しかし、その質問の言葉には力が込められており、選手たちに「答えなければいけない」と感じさせる何かがあったはずだ。

 乾貴士は爆笑し、あの本田圭佑にいたっては見たこともないほど穏やかな顔を見せた。本田相手に「あえて」という言葉を意図的に使ったあたりにも、中山氏の余裕とユーモアを感じる。

 中山氏はこの日、特別な質問をしたわけではない。それは質問内容を文字起こしすれば分かる。

 しかし、真面目でありつつも時折「中山らしさ」を交えたその世界観は中山氏特有のものであり、そういった中山氏のパーソナリティが選手たちの心を開かせていた印象がある。

 選手自身も中山氏をリスペクトする気持ちがあるのだろう。選手が返答する様子を見ていて、目には見えぬ忠誠心を感じずにはいられなかった。

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最終更新:11月17日(月)11時21分

フットボールチャンネル

 

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