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大規模ハッカソンの審査員をやって気づいたこと

昨日、TechCrunch Tokyo 2014 ハッカソン に審査員として参加させて頂きました。

自分自身 200人という大規模なハッカソンの審査員をさせて頂くのは初めての体験でしたが、おかげさまで非常に濃い時間を過ごすことができました。結果的に140人が残り、32チームがプレゼンを行うことになりました。

まずは、お声がけ頂いた TechCrunch Japan 西村さんにお礼と、このような大規模なハッカソンを時間通りに進行された Mashup Award (リクルート) の伴野さんに賞賛の言葉を贈りたいと思います。

東の伴野さん、西の角さん(Osaka Innovation Hub / 大阪市)。この2人はおそらく日本で数少ない「ハッカソン職人」ではないかと思っています。ぶっちゃけ、プレゼン終了後の審査員会議でも、このレベルの人たちであれば独立してハッカソン請負スタートアップとして食っていけるのでは、という話も出たくらいです。

今回のハッカソンは Intel の IoT プラットフォーム「Edison / Galileo」、ソフトバンクの感情認識ロボ「Pepper」が3台も支給されるなどもあって、積極的にハードウェアを使ったハッキングを試みるチームがたくさんありました。

なかには、あり得ないテーマであり得ない API の組み合わせを実現し、会場を爆笑と驚きで完全に rock したチームもあり、もはやテクロノジーを使った高レベルな漫才を見ているかのような雰囲気でした。ハッカソンの上位5チームは明日火曜日から開催される TechCrunch Tokyo 2014 の本編にて、LT (ライトニング・トーク) で出場するとのことなので、ぜひお楽しみに。

さて、そんな濃いイベントを通じて1つ気づいたことがあります。それは、ハードウェアを扱っているがゆえに発生する数々のトラブルの多さです。

今回は発表するチームの数が多いため、1チームあたり3分という短いプレゼン時間だけが与えられ、その内容もデモをメインにすることとなっていました。セットアップの時間も短かったこともあってか、特に Edison や Pepper を使ったチームのデモはなかなか思うように動作していなかったようでした。

そのようなシーンに直面した時に、自分はプレゼンターの対処法を注意深く見るようにしているのですが、今回はほぼ全員、アドリブのトークや事前に撮影しておいた動画などで見事に切り抜けて、うまく対処していました。これは、参加者の半数以上がエンジニアというハッカソンの属性を考えても、あまり見ない光景で、今回自分が一番印象を受けたのが、まさにこの部分でした。

ビジネスを立ち上げて起業すると、想定外のことや逆境が常に降りかかって来ますが、いわゆる成功する起業家というのは共通して、これらに瞬間的にかつクールに対応するスキルと度胸を持ち合わせています。

自分も過去にデモで持参したハードウェアがうまく動かなかったり、前日まで問題なく動作していた製品が客先への納品直後からトラブルを起こしたりと、そういったことは何度も経験してきましたが、そこで慌てふためくとかえって問題が大きくなることもあったように思います。

スタートアップの起業家の中でも、銀行口座の残高があと数ヶ月分という状態で VC から資金調達をクローズした、という話を希に聞きますが、そういったある種の「面の皮の厚さ」みたいなものは厳しい生存環境の中で生き延びていくために絶対に必要なスキルだと考えています。

今回、トラブルに見舞われたチームのプレゼンターの方々は、その点見事にクリアされていたので、イベント終了後の交流会で彼らを捕まえては「あなたには経営者の資質があるのではないか」と直接ご本人にも伝えさせて頂きました。

日本人のプレゼン力の低さは以前から指摘されていましたが、こういったハッカソンに毎回参加することで、半ば強制的にプレゼン力が磨かれるため、自分はもっと多くの人に参加して頂きたいと思っています。

一時期、ハッカソン自体が下火になったころは「結局ハッカソンって企業の API / SDK の宣伝でしょ?」という風潮があったことも確かですが、長い目でみてハッカソンにはテック系人材の『人間力』の向上という業界全体・日本全体の底上げにつながっているのではないかと最近考えるようになりました。

これからは、さらに分野を限定した「農業 x IT ハッカソン」なんてのも面白いかもしれません。土まみれになりながら最新のハードウェア・IT を駆使して、世の中の問題解決にチャレンジするのも、そろそろ時代の流れにマッチしてくるのではないでしょうか。

最後に運営スタッフ&審査員のみなさま、140名の参加者の方々、お疲れさまでした!

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