ロゼッタ彗星着陸のすごさがわかる4つのこと

2014年11月14日 13:00


悪臭漂う彗星についにタッチダウン!

10年以上前に地球を発ち、この氷と岩の塊をひたすら目指してひとり宇宙を旅してきた探査機ロゼッタ。40億マイル(64億km)の長旅がついに感動のフィナーレを迎えましたね。

ロゼッタから冷蔵庫大の着陸機フィラエが切り離され、人類史上初の彗星着陸を成し遂げた瞬間をライブでハラハラドキドキ見守った方も多いと思います。欧州宇宙機関(ESA)のロゼッタが着陸したのは「彗星67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ」。木星と地球の間の軌道を回っている幅約4kmの岩の塊です。

直進すれば地球からはたったの4億kmなのですが、ただ真っ直ぐ行っても着陸はムリなため、ロゼッタは気の遠くなるような長い遠回りの経路を迂回し(だから64億kmの長旅になった)、地球や火星へのフライバイ(接近通過)を4回行って重力アシストを得ながら速度を調整し、距離を詰めてきました。

いざ近づいてみたら彗星というやつは恐ろしく臭い物体(腐った卵、酔っ払い、馬の臭いがする)であることも判明しましたが、今さら後にはひけません。

最終段階でロゼッタは彗星67Pを取り巻く軌道を回りながらフィラエを発射しました。着陸は複雑で危険なミッションです。まかり間違えば過去10年の緻密なプランニングが全部オジャンになってしまう! まさに恐怖との戦いでした。


ロゼッタ着陸の不安要素はこんなにあった


不安要素その1: 彗星と探査機は両方とも割と高速で動いている
ほんのちょっとのエラーも許されません。少し狂うだけでフィラエは着陸場所をミスってしまいます。

不安要素その2: 切り離されてしばらくはフリーフォール
ロゼッタから発射後はフィラエの自由落下が延々続きます。その間、7時間。いわゆる「恐怖の7時間」というやつですね。

不安要素その3: スラスターがぶっ壊れていた
この彗星は重力が弱っちいので、タッチダウンした弾みで宇宙にボヨンと跳ね返ってしまう不安があります。ところが本体上部にある下に押すスラスターはあいにく故障してました。しょうがないので本体下部にあるハープーン(くじら猟で使うみたいな槍)を発射してグリグリ彗星にねじ込んで固定しないといけなかったんです(図解)。

まあ、結局はハープーンが発射に失敗してボヨンと跳ね返ったので、実はロゼッタは2度着陸してたっぽいことが翌朝判明しました。チームの方で、もう一回ハープン発射して固定すべきかどうかを検討中です。

不安要素その4: 斜面だと後がない
着陸場所があまりにも急斜面だと倒れてしまう心配もありました。一度倒れたが最後、二度と起き上がることはできません。


141113Rosetta_a.jpg

Philaeのカメラで撮った彗星。(c)ESA


着陸の目的は? 今後どうなる?


この氷と岩の塊にそこまで苦労してタッチダウンするだけの価値がどれだけあるのか?…と思ってしまいますが、これは太陽系の成り立ちを知る重要な一歩なんだそうですよ?

太陽と惑星が形成される前、我々がいる太陽系はガスとダストの雲でした。これがいわゆる「前太陽系星雲(pre-solar nebulae)」。

彗星には原初の前太陽系星雲の状態がそのまま温存されていると考えられており、このタイムマシンを調べれば太陽系原初のことがわかる、というわけです。フィラエには彗星67Pの氷と岩の組成を調べる機材が山のように搭載されています。

この先の観測ミッションは、彗星が太陽に最接近する2015年8月まで続く予定です。彗星というと、長い尾を引くほうき星ですけど、彗星67Pがゆっくり溶けてあの尾になる姿をフィラエはじっと見守ってゆきます。そこで旅は終わり、また新たな旅が始まります。


Philaeの着陸シミュレーション。ほぼこのプラン通りにいきました!


Sarah Zhang - Gizmodo US[原文
(satomi)
 

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