2014-11-15
■[人権][歴史]読売新聞1934年5月18日の社説
wamがwam緊急ミニ企画展「徹底検証! 読売『慰安婦』報道」を昨日から開催しているそうだ。
今年8月の「慰安婦」問題に関する朝日新聞の訂正記事以降、鬼の首を取ったように朝日の報道を攻撃した読売新聞。とはいえ「1990年代初頭は、読売だって同じような報道だったよねえ」というのが、私たちの共通のイメージ。
そこでwamでは、1980年代から2007年までの読売新聞の「慰安婦」報道を徹底検証してみました。題して「徹底検証! 読売『慰安婦』報道」展。
オープニング・イベントでは、山口正紀さんをお迎えします。元読売新聞の記者で、今も「週刊金曜日」等で鋭い記事を書き続けている山口さんに、読売がいつから「産経みたいになっちゃったのか」、鋭く分析していただきます。貴重なこの機会に、ぜひご参加ください。
今日行われるオープニングイベントの山口氏の講演も興味深いのだが私は行けそうにない。しかし、この機会に私も読売新聞の記事について1980年代よりもさらに以前のものを一つ紹介しておきたい。
社説 公娼制度廃止に就いて 読売新聞1934年5月18朝刊3面より
内務当局に於いては、いよいよ公娼制度廃止の方針を取ることになり、すでに大体の腹案も出来上がったということである。明治初年以来、各方面から叫ばれた廃娼運動も伝統(習慣)*1等の障壁に遮られて、解放甚だ困難と見られていたが、当局のこの一大決定によって、近く実現の運びに至るだろうと伝えられることは、まことに結構なことである。特にわが国の公娼制度は、甚だしく時代錯誤的なものであるばかりか、現に行われている集娼制度の内容は、一種の奴隷制度にも類すると見られているものである。社会的道徳的に見て、適当の機会に於いて之が全廃を計るべきはいうまでもないことであって、国家がこれを正業と認めて公許し居ること自体に甚だしき矛盾があるのである。数百年来伝承して今日に至ったこの制度を、急速に改めることの困難はいうまでもない話であるが、近来業者自体に於いて家業継続の非を悟り、自然衰退の傾向を辿りつつある際、この機運を利用してその絶滅に努力することは時期的に見ても当を得たものと思う。
(後略)
※漢字と仮名遣いは現代風に改めた。
この社説の2日前の読売新聞(1934年5月17日朝刊7面)には「内務省の腹決り、いよいよ公娼廃止。私娼は集団のみ黙許」と題した記事が掲載されており、社説はこの廃娼の速報を受けて書かれたものと思われる。当時の読売新聞の他の記事を読んでも明らかなのだが、読売新聞も1930年代において「公娼制度=奴隷制」と認識していたとみなしてよいと思われる。
ところで先日発行された読売新聞編集局(著)の『徹底検証 朝日「慰安婦」報道』(中公新書ラクレ)*2でも恐らく戦前の公娼制度についての言及はあるのだろうと思うのだが、どのようなスタンスで記述しているのだろうか。まさか戦前の認識より後退したスタンスでの記述ではあるまいと信じたい。しかし今日の読売新聞でも「慰安婦問題に詳しい藤岡信勝氏」という記述を見かけたので、非常に不安ではある。
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