もう忘れない!社会人がすべき最強の記憶術
2014年11月13日更新
最近、「人の名前を思い出せない」「本の内容を思い出せない」なんてことはありませんか?せっかくの貴重な出会いや読んだビジネス書の内容などを忘れてしまうのは非常にもったいないですよね。
ということで、今回は効率よく記憶するための方法を『「1分スピード記憶」勉強法』の著者・宇都出雅巳さんに聞きました。
もくじ
- 1:記憶するための3つのポイント
- 2:【実践1】初対面の人の名前を記憶しよう
- 3:【実践2】本の内容を覚えよう
- 4:記憶する習慣を身につけよう
記憶するための3つのポイント
脳に残る記憶方法には3つのポイントがあります。
1:繰り返しおこなう
覚えたい情報は「記憶する→声に出す(思い出す)」などの行動を繰り返すことで記憶として定着していきます。覚えたい内容は何度も反芻させましょう。
その場限りで終わらせず、記憶してから少し時間をあけ、ふとしたタイミングで思い出すクセをつけるとなお強くインプットされます。
2:アウトプットをおこなう
インプットした記憶は必ずアウトプットさせましょう。アウトプットすると、人は覚えたインプットした内容を頭の中で反芻させ、さらに噛み砕いて言葉などにして外へ出そうとします。つまり、上記の「繰り返しおこなう」を脳の中で実行することができるのです。
アウトプットには「日記やブログに書く」「人に話す」といったものがあり、なかでも「実践する」「誰かに発表する」がおすすめです。
3:大枠から記憶する
人間の脳は、細かいことよりも大雑把なことの方が覚えやすいといわれています。物事を暗記するときは、覚えたい内容をカテゴリー分けして、大枠から覚えていきましょう。
例えば「ヨーロッパの国名」を覚えたいときは、まず地域と場所を覚えます。「北ヨーロッパ」「東ヨーロッパ」「南ヨーロッパ」「中央ヨーロッパ」「西ヨーロッパ」・・・と、それらの地方を大カテゴリーとして覚えたあとで地方ごとに所属する国を覚えます。ヨーロッパの地域からそこに所属する国名に繋がるように記憶が階層化されるため、脳に記憶されやすくなります。
では、これらのポイントをおさえた具体的な方法を「人の名前」と「本の内容」を覚えるときを例にみてみましょう!
【実践1】初対面の人の名前を記憶しよう
1:人の名前から連想されるイメージでインプット!
人の名前は次の内容をセットにして覚えましょう。
- 名前から連想されるビジュアル的イメージ
- 相手の顔
例えば「星野」という名字の人を覚える場合。まずは「星野」という名字からビジュアル的イメージを連想させます。深く考えず、第一印象でパッとでてきたもので構いません。「星が見える野原にいる星野さん」といった連想でもOKです。
思い浮かんだイメージと星野さんの顔をセットに一枚の絵にして脳にインプットしましょう。「星野」という単語のみを覚えるよりもインパクトがあるため、記憶に残りやすくなります。
2:会話のなかでどんどん名前を声に出そう!
人の名前を覚えたら、次は会話のなかで相手の名前を積極的に呼びましょう。何か意見を求めたいときも、下記のように名前を付け加えて話しかけます。
<例>
「星野さんは、どう思われますか?」
最初は少し恥ずかしく感じるかもしれませんが、相手はあまり気にしないものです。どんどん声に出していきましょう。
3:その人に関する情報を集めよう!
会話のなかで、できるかぎり相手の情報を集めましょう。後日、相手のことを思い出したいとき、関連情報からいもづる式で名前を思い出すことができます。
特に次のような情報を会話のなかで聞き出しておくと、相手を思い出すときの手助けになりやすいです。
- 「勤務先」
- 「趣味」
- 「出身地」
また、相手に初めてあった時の気持ちや状況もいっしょに覚えておくと、後日に思い出すときのフックになります。
4:記憶に残る体験をしよう
人は、体を使うなどのインパクトがある体験ほど記憶に残りやすい傾向があります。
相手との関係や性格にもよりますが、初対面の際、可能なら固い握手やハイタッチなど体を使った動作をしておくとなお記憶に残りやすくなります。
【実践2】本の内容を覚えよう
1:タイトルから内容を想像する
本を読み始める前に、まずはタイトルを見て書かれている内容を想像しましょう。「想像した本の内容」や「疑問」は、書かれている内容への「好奇心」へと変化します。好奇心を持ってから内容を読み始めたほうが、記憶に残りやすくなります。
2:もくじを覚える
前述の「記憶するための3つのポイント」でもご紹介したとおり、人間は大枠をとらえたあとで細かい知識を入れるほうが物事を記憶しやすくなります。
そのため、記憶したい本を読むときは先にもくじを記憶しましょう。そのあとで各項目の内容を読み進めていきます。すると、情報が階層化され、より効率よく本の内容を記憶できます。
もくじは「覚えたい単語のイメージ」と「場所」をいっしょに覚えるようにすると、より強く記憶できます。下記、具体的な手順です。
- 【 STEP1:覚えたい言葉から身近なものを連想させる 】
覚えたい言葉と、そこから連想されるイメージを思い浮かべます。イメージはできるかぎりキャッチーなものにしましょう。
- 【 STEP2:馴染みのある「場所」をイメージする 】
次に、馴染みのある「場所」をイメージしましょう。
このときにイメージする場所は、しっかり記憶に残っているものならなんでもOKです。家から最寄り駅までの道のりにある建物や自分の部屋から玄関までにある物、自分が使用している路線の駅順なども思い起こしてみましょう。
- 【 STEP3:連想されたイメージをくっつける 】
2でイメージした場所を、1で連想されたイメージとくっつけましょう。
- 【 実際にやってみよう! 】
<記憶するとき>
- 1:「1.行政法序論について」というもくじを覚える
- 2:「行政法序論」の「序(じょ)」という響きから、「叙々苑」をイメージする
- 3:家から駅までの道のりでは、家の一番近くに「コンビニ」がある
- 4:3で思い浮かべた「コンビニ」で「叙々苑」の焼肉パーティーをしているところを想像し、その風景ごと記憶する
<思い出すとき>
- 1:「家から駅までの道のり」を思い出す
- 2:「コンビニ」が脳内に浮かび、「叙々苑」が連想される
- 3:「叙々苑」から「1.行政法序論について」へと繋がり、思い出す
3:もくじに戻って内容を思い出す
もくじを覚えたら本文を読み進めましょう。そして、本を読んでいる途中でもくじに戻り、その内容を思い出してください。これを実践するのは、下記のタイミングがおすすめです。
- 章を読み終えたとき
- 本文を読むことに疲れたとき
途中でもくじに戻って内容を思い出すことは、どれだけ記憶しているかのテストになります。思い出すことで再び記憶を呼び起こすため、脳に知識として定着しやすくなります。
4:理解できない箇所でつまずかずに、ひと通り読む
本を読んでいると、理解できない内容や言葉も登場します。多くの人は意味を理解しようと同じところを何度も読んだり、うんうん唸って考えて今すぐわかろうとします。しかし、それはあまり有効な方法とは言えません。
どうしてもわからなかったときにはネガティブな感情が生まれやすいものです。何度もそういった場面に遭遇すると、本を読むことすら億劫に感じてしまいます。
そこで、意味のわからない内容や言葉に出会っても、とにかく続きを読み進めることが大切です。内容を読み進めるにつれて、前後関係を理解し、よくわからなかった箇所の意味がわかることもあります。さらに、一度読み終えることで増えた知識がヒントになり、より深い理解を得られます。
5:読んだ内容を実践しよう
本を読み終えたら、インプットした内容を実践しましょう。
もし、すぐには実践できない内容なら「実践しているイメージトレーニングをしましょう。その際、必ず自分目線でイメージしましょう。第三者目線になってはいけません。視覚だけではなく、聴覚や嗅覚などの感覚もイメージしましょう。
6:読んだ内容を人に話そう
インプットした内容を人に話しましょう。話すタイミングはできるだけ早く、可能ならその日のうちに話すのが理想です。
本を読み終えてなくても、理解できない部分があっても構いません。「まだ途中なんだけど、こういうことが書いてあって、興味深いんだ」「こういうことがあって、完全に理解できてはいないんだけど、こうだと解釈しているんだ」などと伝えるといいでしょう。
記憶する習慣を身につけよう
毎日ちょっとした習慣をつけるだけで記憶力を向上することができます。
一日の終わりに、その日のできごとを思い出そう
一日の終わりに、その日あった出来事やインプットした内容を朝から順に思い出すようにしてみましょう。最初は多くのことを思い出せないかもしれませんが、だんだんと細かいディテールまで思い出せるようになってきます。
視覚だけでなく、聴覚や嗅覚、そのとき感じた気持ちなども一緒に思い出せるとベストです。継続すれば、確実に記憶力向上につながります。
今回お話を伺ったのはこの人!
宇都出雅巳さん
東京大学経済学部卒業。出版社、コンサルティング会社、銀行勤務を経て、現在はトレスペクト経営教育研究所代表を務める。「覚えたと思った内容を忘れてしまっていても、決して落ち込まないでください。人間の脳は忘れるものです。ですから、忘れたらまた覚えればいい。繰り返しおこなうことが、記憶を定着させる最短の方法なんです」と、宇都出さん。
(イラスト:モップ・シュポンタン)
(写真:徳永哲平)
(ライター:高根ちさと)
本記事は、2014年11月13日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。