UIデザイナー不要説
最近UIについてもやもやしていることがあるので書く。間違った知識もあるかもしれない。
先日UI CrunchというUIの勉強会のようなものが開催され、僕はschooの動画配信を見ていたのだが、どうも根底に「UIデザインの重要性が日本では認知されていない」という共通認識が流れているように思える発表が多かった。デザイナー生存戦略やエンジニアとうまく付き合う方法等…。
僕も前のブログ(UID Lab)でそのようなことを訴えてきたので、あぁ、やっぱりみんな不安なんだなあと思ったが、逆説的に「僕らデザイナーが信じているUIデザインの価値なんて、本当は虚像なんじゃないか?」ということを疑ってみたい。
そもそも、なぜみんな「UIデザインが重要視されていない」と感じるのだろう?自分が日頃感じることを列挙してみる。
UIデザインが重要視されていないと思う理由
1. デザイン=見た目のことという認識
UIは目に見えない使い心地こそが重要だけど、それをわかってくれる人が少ないという理屈。誰もそうは思っていないから、UI設計や要素の検討などに時間を割いてくれない、あるいはデザイナーじゃない役職の人がUIを設計しているという状況。
2. エンジニアとの給与格差
正確ではない大まかな指標と仮定しても100万円近く差がある。口先では「UI/UX重要だ!」といいながらこの体たらく。
3. 海外のアプリやサービスとの差
日本のサービスは恐ろしく使いづらい。あるいはダサい。要素を無秩序に並べたり、ユーザーのメンタルモデルを無視した挙動をする。文字が小さく、画面内にギチギチに要素を詰め込む。だから自分の周辺だけじゃなく、日本中でUIは重要視されていない。
理由はこの3つあたりにあると思うのだけど、どうだろう。
では、なぜ1〜3のような状況になるのだろう。結論として身も蓋もない話だが、結局、UIは金にならないという実情があるのではないか。
UIデザインは金にならない
経営者は投資家だ。UIはいいに越したことはないのだろうが、投資に対するリターンが極めて低い。実際、UIをよくしたら売り上げが跳ね上がりましたという話は聞いたことがない。
UIがいいとユーザーには支持されるかもしれないが、支持されたからといって儲かるとは限らない。それよりも、ガチャやプレミアム会員、間違えてタップしやすい広告などのビジネスモデルや、広告費用の方が重要。
海外では素晴らしいプロダクトを作ればGoogleとかAppleとかFacebookに買ってもらえるのだろうが、日本では厳しかったりする(最近は買収も増えてるけど)
ちなみによくごっちゃにされるのだが、「そこらじゅうに導線をばらまいたらナントカ率がアップした」「バナーのデザインによってクリック率が上がった」とかいうのは、UIはUIでもユーザーインターフェースではなく、ウンエイインターフェースだと思う。これらはノイズを増やし、ユーザーに愛されることを放棄している。誰のためのデザイン?である。そこに幸せを感じるデザイナーはいてもいいと思うが、自分は不快にしかならない。もちろん、ユーザーもデベロッパも両方幸せになるデザインというのもあるが。
そんなわけで、結局(UIデザイナーがやりたいと思うような)UIデザインへの投資のリターンは、日本ではかなり長い目で見てファンを獲得したい場合にほぼ限られるのではないか。短期的にはほとんど儲からない。
逆にいうと日本でUIに力を入れている会社は、かなり長い目で事業の成長を考えていると見て間違いないでしょう。
じゃあデザイナーはどうするべきか
「経営者にデザインマインドがあって品質を追求する会社」か、「お金に余裕があってUIに投資している会社」に転職するのがいいんじゃないかという当たり前の結論に。。日本のUIデザインを発展させる!みたいな事を考えると、上のような複雑な事情から苦しくなると思われるので、苦しむ覚悟をした上で。上記の1〜3に当てはまる会社で内部から体制を変えるのは、膨大な時間がかかる上うまくいくか分からないので、正直オススメできないですね。はい。
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