日銀に先手打たれたECB、負けられないドラギ総裁正念場
11月3日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)がカバード債を購入している間に、日本銀行が金融緩和拡大を決定、スウェーデン中銀はゼロ金利に踏み切ってしまった。
他中銀の追加緩和によってドラギECB総裁は、低インフレへの対応で自ら越えねばならないハードルを引き上げられてしまった格好だ。対応を強化できなければ、自国通貨安によって消費者物価を押し上げようとする新しい「通貨戦争」で白旗を掲げることになる。
野村ホールディングスの為替調査担当マネジングディレクター、イェンス・ノルドビグ氏(ニューヨーク在勤)は、「ボールは今ECBの側にある」が、「ECBの行動が遅れ、他中銀に対してさらに後れを取るリスクがある」と述べた。
日銀の最新の追加緩和は円の対ユーロ下落につながるため、ユーロ圏でのデフレ圧力は高まる。JPモルガン・チェースのG10為替責任者のジョン・ノーマンド氏の概算によれば、円とその影響を受けるアジア諸国の通貨はユーロ圏の貿易において約21%を占める。
資産購入枠の拡大で日銀のバランスシートは1年で、ECBが数年かけて達成しようとしているよりも大きく膨らむ。これによって、ユーロは円に対して5%上昇する可能性があるとノーマンド氏は指摘。「今後数年の金利差拡大による自国通貨安を期待する中銀として、ECBは日銀の動きを歓迎しないだろう」と2日のリポートに記した。
ECBは民間資産の購入を開始したが、国債購入にはドイツ連邦銀行のバイトマン総裁を中心に一部政策委員らの反対が根強い。
それでも、BNPパリバの通貨アナリストらは3日のリポートで、ドラギ総裁が6日の定例政策委員会後の会見でバランスシート膨張の追加措置を年内に導入することを「強く示唆するだろう」と予想した。
原題:Draghi Stress Tested as BOJ-Riksbank Moves Raise Pressureon ECB(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net
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更新日時: 2014/11/04 07:33 JST