[写真]古書店の働き盛り世代がホンネトークを展開した=大阪市中央区粉川町の大阪古書会館
「古本屋になりまへんか?」と題した古書店開業支援セミナーがこのほど、大阪古書会館(大阪市中央区)で開かれ、ブックカフェや定年後の古書店経営を目指す人らが大勢詰めかけた。大阪府古書籍商業協同組合が古書店の働き世代が商売のコツなどを公開。日ごろは知る機会の少ない古書店の「生きた情報」を知ることができるため、参加者たちは開業の体験談などを熱心に聞き入っていた。さて、古書店経営ってもうかりまっか?
蔵書150冊でネット古書店を開業した体験談
かつて古書業界では、老舗の古書店で修業したのち、独立開業するケースが一般的だった。しかし、近年は古書店での勤務体験を積むことなく、ネット古書店を立ち上げる人たちが増えてきた。古書店開業のハードルが低くなった半面、経験不足から開業後の事業運営に苦労しかねない。
そこで大阪古書組合が「いつかは古本屋の店主に」という思いを秘めている古書ファンに向け、古書店開業に関する素朴な疑問に対応するセミナーの開催を企画。新しい会員獲得活動の一環で、昨年に続く2回目の今年は、より実践的な内容となった。
古書店勤務未経験で、ネット古書店を開業したモズブックス店主の松村明徳さんが講演。松村さんがサイトを開設した際、古書点数はわずか150点にすぎなかった。大阪古書組合に加入し、組合会員限定の古書交換会「市会(いちかい)」に参加して徐々に古書点数を増やしていく。
さらに大阪の古書組合に加入すれば、全国の市会に参加できる特典を生かし、京都の市会で松村さんの関心テーマである美術工芸関連の文献を好条件でそろえることができた。
その後、先輩会員に誘われて百貨店で開かれた古書即売会に出店。他店の売れ行きなどを間近に見ることで、得意分野を限定することなく、幅広い分野での品ぞろえが必要であることを学んだ。「修業中の若い僧侶が悩んだ末、高価な仏教専門書の購入を決意する姿に、古書店の存在意義を教えてもらった」ことが転機になったという。