米地裁 武田薬品賠償金大幅減額10月28日 15時52分
大手製薬会社「武田薬品工業」が、アメリカで販売した糖尿病の治療薬が原因でがんになったとして損害賠償を求められている裁判で、南部ルイジアナ州の連邦地方裁判所は27日、先に支払いを命じたおよそ6400億円の賠償金は行きすぎだったとして大幅に減額する判断を示しました。
この裁判は、武田薬品工業がアメリカで販売した糖尿病治療薬「アクトス」を服用したことでぼうこうがんになったのは発がんの危険性を十分に説明しなかったためだとして損害賠償を求められているもので、南部ルイジアナ州の連邦地方裁判所は先月、武田薬品側におよそ60億ドル(日本円にしておよそ6400億円)の支払いを命じる判決を言い渡しました。
これについて武田薬品側は判決を不服として賠償金の減額などを申し立てていましたが、連邦地方裁判所は27日、「先に命じた賠償金は行きすぎだった」として賠償金を当初に比べて1%未満のおよそ30億円に大幅に減額する判断を示しました。
この糖尿病治療薬の賠償を巡っては、アメリカのほかの裁判所でも争われていますが、ルイジアナ州の裁判を除く5件の判決や陪審評決は、武田薬品側には責任がないことを認定しており、業績に与える影響は限定的にとどまるものとみられます。
武田薬品工業は、アメリカのルイジアナ州の連邦地方裁判所が出した賠償金を減額する修正判決でも、「薬の服用とがんの発症に因果関係がない」とする会社側の主張が認められていないとして、近く控訴する方針です。
武田薬品は、これまでの裁判の中で糖尿病治療薬「アクトス」を服用したことでぼうこうがんになったという科学的根拠はないなどとして、損害賠償を支払う理由はないと主張してきました。
武田薬品は、「賠償金の減額は正しい方向性だが、当社に責任があるとは考えていないため控訴する」としています。