[要望書]10月20日に予定されている大阪市長と桜井誠の面会に際して

大阪市長とヘイトスピーチ集団「在特会」との面会に関して

大阪市長橋下徹様

私たち「対レイシスト行動集団（C.R.A.C.）は、ヘイトスピーチやレイシズムに対してさまざまな方法で抗議を行うグループです。このたびは、大阪市長に在特会によるヘイトスピーチの実態を正しく把握していただき、市長が在特会に対して適切に対応することを願い、この要望書を送付させていただきます。

10月15日付NHKニュースは、ヘイトスピーチ（差別煽動表現）をめぐって橋下市長が在特会こと「在日特権を許さない市民の会」と今月１０月２０日に面会する方向で最終調整を進めていると報じました。
http://www.nhk.or.jp/kansai-news/20141016/5416391.html
その記事は、先月9月23日に大阪市内で実施された在特会らによる「日韓国交断絶デモ」について、市長が「表現内容は、かなり穏当になってきているのではないか」とコメントしたことも伝えました。

た しかに、在特会は在日コリアンなどの民族的マイノリティに対して「死ね、殺せ」などのあからさまに過激な言葉を含むヘイトスピーチ（差別煽動表現）は行っ ておりません。しかし確認しておきたいことは、依然として「穏当」とされる形態であれヘイトスピーチは継続して行われており、それらは「穏当な表現」で あったとしても、ヘイトスピーチであることに変わりありません。その点をよく認識したうえで、市長にはヘイトスピーチを許さないという強い態度での対応を 要望します。

市長の適切な判断の助けになればと、9月23日にあった「日韓断交アクション２０１４in大阪」の様子を、在特会が撮影しインターネットの動画サイトに投 稿している映像から書き起こしをしてみました。この日のデモを記録した動画は全部で4本あり、それぞれの中からデモ参加者の注目すべき発言を抽出しまし た。また、それぞれの発言についての動画ごとにコメントを付け加えております。ご参照ください。

[以下　文字おこし]
9/23 全国一斉「日韓断交アクション２０１４」@大阪

動画1　http://www.nicovideo.jp/watch/sm24557505
①10分　デモ参加者「朝鮮帰れよー。兵役いけー。朝鮮帰れやー。」　
②12分10秒　抗議者に罵声をあび、北原「橋下さんちゃんと見といて下さいよ、ネットに上げますから」
③13分50秒　デモ参加者「（抗議者に向け）黙れ朝鮮人」
④14分20秒　（抗議者からの抗議をうけ）デモ参加者「これを市長に見せましょう」北原氏「今日の趣旨はそれです、いいですね」
[コメント]
①在日コリアンが当然にもつ、この社会の一員として暮らす権利を真っ向から否定する発言であり、ヘイトスピーチである。
②在特会が大阪市長へのアピールの機会として御堂筋でのヘイトデモを位置づけていることがわかる発言である。
③「黙れ朝鮮人」という口ぶりから、強烈な差別意識をもってデモに参加していることがわかる。
④　②と同じ。

動画②　http://www.nicovideo.jp/watch/sm24557712
①30秒　（抗議する市民に「帰れ」と言われ）北原「この人たちは帰る国あるのにおかしな事をいってますね」
② 1分　デモ参加者「そんな国の人とは断交したいんだよー」
③ 2分　（抗議者に「カス」と罵倒され）　北原氏「カスってそれヘイトじゃないですかー、なんて事いうんですか、橋下さんに嫌われますよ」
④ 2分20秒　（抗議者に向かい）デモ参加者「お前、何人や？お前何人じゃ、こら」「何人じゃお前」
[以下、先導車両からのコール]
⑤ 7分10秒 「韓国人は嫌われて当り前です。日本社会に不満があるならば遠慮せずに早々に帰国してください」
⑥ 7分20秒　「韓国を嫌悪する日本人が気に入らないなら、どうぞ日本から離れて下さい」
⑦ 7分40秒　「日本と日本人が嫌いな韓国人はさっさと日本から出ていけー」参加者ら「出ていけー」
⑧ 12分10秒「在日韓国人の生活保護の不正受給、日本人の虐殺、靖国神社放火、慰安婦の嘘、これらを反省もせず、我々、日本人を暴力によって言論弾圧し、日本人を支配下に治めてきました。我々、日本人はこの犯罪組織に負ける訳にはいきません」
⑨ 12分40秒「韓国を批判糾弾すると、ヘイトスピーチという言葉が返ってきます。民族憎悪を煽るのがヘイトスピーチらしいのですが、事実を述べる事が何故ヘイトスピーチなのでしょうか？」

[コメント]
①在日コリアンに対して「祖国に帰れ」と言っているわけで、彼らがこの社会で数世代にわたって気づいてきた生活基盤を真っ向から否定している、という意味で明確なヘイトスピーチです。
②「国交断絶」という外交問題の外観を装ってはいますが、在日コリアンという属性一般に対するの蔑視意識がむき出しになっているという点でヘイトスピーチに該当します。
③北原による「カス」発言は、たんなる罵倒の応酬であり、これはヘイトスピーチに当たらない。ただ、在特会の支部長は「ヘイトスピーチ」（差別煽動発言）と「罵倒・悪口」とを区別できていないことは明らかになっている。
④ 相手の出自について公開の場で質問し返答を迫っていますが、このような尋問が民族的マイノリティに向けられることのおぞましさは、関東大震災の際の朝鮮人 虐殺の事例からみても明白です。属性を理由に社会的少数者に沈黙を強いるという点からも、悪質なヘイトスピーチであると考えられます。

⑤　①と同様に、明確なヘイトスピーチです。
⑥　①と同様。なお、抗議にあつまる市民は、ヘイトスピーチならびに在特会に抗議しているのであり、たとえば「韓国政府を無条件で支持せよ」などと主張したことは一度もありません。
⑦　①と同様。
⑧　韓国人や在日コリアンによる個別の犯罪を理由に、あたかも在日コリアン全体が犯罪者であるかのように宣伝し、在日コリアンへの偏見や差別を助長するヘイトスピーチである。
⑨私たちは「韓国政府への批判・糾弾」などの政治的主張に対して抗議しているわけではありません。政府批判は許されて当然の権利です。それでも彼らが批判されるのは、彼らの主張がたんなる「政治的主張」の範囲内に留まることがきわめて稀であるからです。
また在特会らは「事実を述べるのがヘイトスピーチか」と反論を試みていますが、個別の事例を拡大解釈し、在日コリアン全体に一般化し、結果として差別と偏見を助長し、在日コリアン全体を無差別に傷つけていることが「ヘイトスピーチ」として批判されているのです。

動画 ③　http://www.nicovideo.jp/watch/sm24557895
①1 分50秒　コーラー「大阪市民のみなさんの皆さんご覧下さい。沿道でプラカードを掲げ中指を立ててヘイトスピーチをまき散らしているのは、在日韓国・朝鮮 人たちです」デモ参加者「帰れ、帰れ」コーラー「在日韓国・朝鮮人に告ぐ。いますぐ日本人へのヘイトスピーチをやめなさい。すぐ日本人へのヘイトスピーチ をやめなさい」デモ参加者「そうだそうだやめろ」
② 2分40秒　コーラー「（沿道に向け）みなさんは韓国がどういう国かご存じですか。歴史を捏造し、他国の作品をかすめとる。竹島を不法占拠し、対馬の仏像 を盗み、嘘の慰安婦問題で、何時までも被害者の立場にこだわり、日本人に賠償を求め続ける。批判、糾弾されると、差別だ、ヘイトスピーチだと騒いで、我々 に責任を押し付ける、このような国と国交をもっても日本には何一つメリットなんてありません。」
デモ参加者「そうだー」
③3分40秒　コーラー「日本へのヘイトスピーチを続ける韓国」

④ 7分10秒　コーラー「沿道のみなさん、プラカードを掲げ、中指を立てているのは、在日韓国朝鮮人たちです。在日韓国人に告ぐ、いますぐ日本人へのヘイトスピーチを辞めなさい」
⑤ 7分40秒　コーラー「韓国民団からお金をもらっている、しばき隊のみなさん、こんにちはー」
⑥ 8分30秒　「13歳の少女に麻薬をうちレイプした在日韓国人、それでもヘイトスピーチという言葉にすり替えるのか。朝鮮人は恥を知れー」

[コメント]
① 沿道から抗議する市民は国籍の区別なく集まった個人の集合です。
「日 本人へのヘイトスピーチをやめろ」という在特会が頻繁に発するフレーズについて述べれば、ヘイトスピーチは社会的少数者や構造的に弱い立場に置かれた人た ちに向けられるものである以上、日本社会における圧倒的マジョリティである「日本人」一般に対するヘイトスピーチは原理的に生じえません。
②　こ こでは韓国の教育政策や、領土紛争などの政治的主張が中心となっていますが、これませの発言を考慮にいれれば、彼らが「韓国」という国家、韓国の市民、そ して在日コリアンをそれぞれひとまとまりに把握したうえで、憎悪の対象としていることがうかがえます。そのような態度からヘイトスピーチは発生し、また当 人は自分がヘイトスピーチをしていることに無自覚であるという事態が発生するのでしょう。
③　ここでも「ヘイトスピーチ」の語の誤認が見られます。
④　①と同じ。
⑤　事実誤認です。
⑥　在日コリアンが犯した個々の犯罪が法にもとづいて処理されるのは当然であり、私たちはそれを不当と主張したことなど一度もありません。

動画④　http://sp.nicovideo.jp/watch/sm24558130

① 2分50秒 デモ参加者「（抗議者に向け）おい朝鮮人、朝鮮人、チョンコ」
② 6分58秒 先の尖った木杭を手に歩道側に突っ込もうとするところを警官に阻止されるデモ参加者

[コメント]
①　在日コリアンへのあからさまな差別意識が表出しています。
②　ヘイトデモを野放しにすることは、このような物理的衝突が起きるリスクを高めることになると考えます。何らかの規制を早急におこなうべきです。

繰り返しになしますが、ヘイトスピーチに「過激であるか、穏当であるか」の区別は基本的には無意味であると私たちは考えています。それは強く殴るか、真綿で 絞めるかの違いでしかありません。この社会に生きる市民の尊厳を、その人の生きる文脈を一切考慮することなく一瞬で奪うような言動が大阪の街で許されてい いわけがありません。大阪市長には、断固として彼らを認めない姿勢を見せることを強く希望します。

　最後に、つい先日、10月12日にも在特会らは御堂筋でデモ行進を行ない、その後、難波千日前通りで街宣を行っております。9月23日の日韓断交デモと同様に、動画がインターネットにアップロードされておりますので、これも実態把握のために是非参照してみてださい。

■大阪 生活保護法改正デモ http://live.nicovideo.jp/watch/lv196405524?ref=community
http://live.nicovideo.jp/watch/lv196407641?ref=community

■大阪 生活保護法改正街宣 我流通信社http://live.nicovideo.jp/watch/lv196417202?ref=community
http://live.nicovideo.jp/watch/lv196420036?ref=community
http://live.nicovideo.jp/watch/lv196422911?ref=community