『朝日新聞』は、10月16~18日まで上中下3日連続で「深層カジノ」と題した連載記事を大々的に掲載した。その第1回は、一面トップに「『カジノ効果』追う日本―首相『成長戦略の目玉』」との見出しを掲げたうえで、二面1頁も割いた大特集であった。
カジノ解禁を阻む「ギャンブル依存症」問題
記事を読むと、安倍晋三首相が5月末に視察したシンガポールの統合型リゾート(IR)のマリーナ・ベイ・サンズ(MBS)内にあるカジノの現地ルポを始め、成長戦略の目玉とする首相官邸が先の通常国会に議員立法で提出された統合型リゾート推進法案(通称、カジノ解禁法案)の今臨時国会中の成立に前のめりになっている現状が詳述されている。
それだけではない。むしろ連載記事の主眼がカジノ導入による「マイナス効果」の指摘に力点が置かれていることに気が付く。所謂「ギャンブル依存症」問題である。
奇しくも連載開始の前日の15日午後、衆院内閣委員会で共産党の佐々木憲昭衆院議員は、13年10月にアフリカの在コンゴ日本大使館勤務のノンキャリア外務省職員が約2000万円の横領隠蔽のため大使館に放火した事件を取り上げ、同職員がカジノで作った借金返済に困り放火したのではないかと質した。
新聞各紙はどこもこの国会質問を記事にしなかったが、官邸と外務省は、実は佐々木質問への対応をめぐり慌てふためいていたのだ。斎木昭隆外務事務次官は14日午前と15日午前の2日連続で官邸を訪れ、差しで安倍首相と協議している。分けても15日には官邸訪問直後、急きょ上月豊久官房長を伴い自民党本部を訪れ、佐藤勉国対委員長と答弁内容を詰めたほどだ。
「カジノ解禁法案を成立させるべく全力で取り組んでいる」(菅義偉官房長官の3日の記者会見)官邸サイドは、カジノ=ギャンブル依存症のイメージ定着を極度に心配しているのだ。連立のパートナーである公明党の太田昭宏国土交通相が、先の改造内閣発足に当たってカジノ構想推進の特命を受けているにも拘わらず、議論が未成熟だとして法案成立に慎重論を唱え始めたこともある。
- 官邸主導「カジノ解禁」の最大の壁は「オール霞が関軍」 (2014.10.18)
- GPIF改革で株価上昇へのサプライズ! 「25%」「バンド制」を塩崎厚労相は発表できるか (2014.10.11)
- 民主党は政権復帰より党分裂が現実的に (2014.10.04)
- 日中首脳会談実現へ「井戸を掘った」 福田元首相と谷垣幹事長の「贖罪意識」 (2014.09.27)
- 悲しむべきか喜ぶべきか? 対「イスラム国」国際会議への出席要請が岸田外相に届かず (2014.09.20)
-
アスリートと「食」ダイエット後のリバウンドを防ぐには「アナボる」しかない! (2014.10.19)
-
-
-
-