これでは消費は伸びまい。10/17に毎月勤労統計の確報があり、大きめの下方修正があった。実質賃金指数の前年比は、0.5下がって-3.1%となり、再び-3%を割り込んだ。7月に、ボーナスアップで-1.7%まで縮めていたのに、元のもくあみである。これで、常用雇用の1.7%増を勘案しても、マイナス圏へ落ちたことになる。こうした下方修正は、追加集計された中小企業における苦しさを物語る。
しかも、8月は、まだボーナスの影響が残っているので、9月になると、実質賃金のマイナスが更に開く可能性が高い。消費の低迷で物価が弱含んでいるため、上昇率の低下で実質賃金が押し上げられることはあるにせよ。他方、所定外労働時間は、季節調整済指数の前月比が-1.4%も下がって、5か月連続の減となった。また、頼みの綱の常用雇用は、6月に0.3%増だったものが、7月0.2%、8月0.1%と、低下の一途である。
………
今日の日経によれば、10月の月例経済報告で、「一部に弱さも見られるが、緩やかな回復基調が続いている」としていた景気判断を、「一部に」を削ることで下方修正するようだ。雇用関連の指標が前述のようでは、そのうち、「ほとんどすべてに弱さも見られるが、回復基調が続いている」になるかもしれない。
失業率の上昇というのは、かなり遅れて起こるものだから、そうなるまで、「回復基調が続いている」と言い張れなくもない。1997年の場合だと、急上昇を始めたのは年明けになってからだった。したがって、12月まで「回復」の認識を維持し、追加増税の決定に持ち込むというのも、一つのやり方だろう。もっとも、その後の1998年は悲惨な状況になったが。
………
10/16のロイターによれば、外資系の調査機関は、8月の消費総合指数を見て、7-9月期のGDPを2%台に引き下げたらしい。まあ、当然のことで、ようやく、世間も、本コラムの見方に近づいてきてくれた。9月については、東大物価売上指数を見る限り、8月より若干低いか同じくらいだから、そうした予想は妥当な線であろう。
この9月だが、過去の天気をヤフーで確かめると、全国的に好天だったのに、消費に回復が見られなかった。7、8月の低迷がお天気のせいなら、反転上昇が見られるはずなのに、どうしたことか。ちなみに、内閣府の「消費税率引上げ後の消費動向等について」は、回復が思わしくないせいか、今月に入って、すっかり粗雑なものになっている。
なお、足元の10月前半は、2週連続で台風に襲われたにもかかわらず、東大物価売上指数が割と好調に推移している。たぶん、悪天候のせいで消費が良かったのだろう。そう言えば、筆者も、台風に備えて食料を買い込んだりしたから、納得できるところだ。このまま好調が続くか、それとも反動減となるかは、まだ、これからである。
………
さて、プロの目からは、7-9月期の2%成長は、とんでもなく悪い数字だが、財政当局は、「これだけあれば増税できる」と言うのだろう。実態は、消費総合指数で見ると明らかで、5月から4か月経っても底をはい、7,8月平均は、5,6月平均のマイナスという有様だ。反動減の4月が極端に低かったために、7-9月期が成長しているように見えるだけである。
消費総合指数は、この2年ほど、2%台前半の成長で来ていたが、消費税8%体制は、これをゼロ成長に屈曲させてしまったようだ。この新体制により、潜在成長率はゼロ%になったと言うのであれば、底バイでも立派な成長ぶりと強弁もできよう。そして、マイナス成長へと転落するであろう消費税10%体制さえ、国民は甘受すべきものということになる。
(図)

(昨日の日経)
小渕経産相が辞意。法人課税は賃上げなら軽く。国内株20%台半ば・GPIF。諮問会議・130万円の壁の解消を提言。大機・Jカーブは生きている・富民。
※税を軽くしても保険料はかかる。全体を見ないとね。※さすがだよ富民さん。
(今日の日経)
小渕経産相が辞任へ。10月月例の景気判断下げへ、「回復」認識は維持。読書・ブラックウォーター。
しかも、8月は、まだボーナスの影響が残っているので、9月になると、実質賃金のマイナスが更に開く可能性が高い。消費の低迷で物価が弱含んでいるため、上昇率の低下で実質賃金が押し上げられることはあるにせよ。他方、所定外労働時間は、季節調整済指数の前月比が-1.4%も下がって、5か月連続の減となった。また、頼みの綱の常用雇用は、6月に0.3%増だったものが、7月0.2%、8月0.1%と、低下の一途である。
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今日の日経によれば、10月の月例経済報告で、「一部に弱さも見られるが、緩やかな回復基調が続いている」としていた景気判断を、「一部に」を削ることで下方修正するようだ。雇用関連の指標が前述のようでは、そのうち、「ほとんどすべてに弱さも見られるが、回復基調が続いている」になるかもしれない。
失業率の上昇というのは、かなり遅れて起こるものだから、そうなるまで、「回復基調が続いている」と言い張れなくもない。1997年の場合だと、急上昇を始めたのは年明けになってからだった。したがって、12月まで「回復」の認識を維持し、追加増税の決定に持ち込むというのも、一つのやり方だろう。もっとも、その後の1998年は悲惨な状況になったが。
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10/16のロイターによれば、外資系の調査機関は、8月の消費総合指数を見て、7-9月期のGDPを2%台に引き下げたらしい。まあ、当然のことで、ようやく、世間も、本コラムの見方に近づいてきてくれた。9月については、東大物価売上指数を見る限り、8月より若干低いか同じくらいだから、そうした予想は妥当な線であろう。
この9月だが、過去の天気をヤフーで確かめると、全国的に好天だったのに、消費に回復が見られなかった。7、8月の低迷がお天気のせいなら、反転上昇が見られるはずなのに、どうしたことか。ちなみに、内閣府の「消費税率引上げ後の消費動向等について」は、回復が思わしくないせいか、今月に入って、すっかり粗雑なものになっている。
なお、足元の10月前半は、2週連続で台風に襲われたにもかかわらず、東大物価売上指数が割と好調に推移している。たぶん、悪天候のせいで消費が良かったのだろう。そう言えば、筆者も、台風に備えて食料を買い込んだりしたから、納得できるところだ。このまま好調が続くか、それとも反動減となるかは、まだ、これからである。
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さて、プロの目からは、7-9月期の2%成長は、とんでもなく悪い数字だが、財政当局は、「これだけあれば増税できる」と言うのだろう。実態は、消費総合指数で見ると明らかで、5月から4か月経っても底をはい、7,8月平均は、5,6月平均のマイナスという有様だ。反動減の4月が極端に低かったために、7-9月期が成長しているように見えるだけである。
消費総合指数は、この2年ほど、2%台前半の成長で来ていたが、消費税8%体制は、これをゼロ成長に屈曲させてしまったようだ。この新体制により、潜在成長率はゼロ%になったと言うのであれば、底バイでも立派な成長ぶりと強弁もできよう。そして、マイナス成長へと転落するであろう消費税10%体制さえ、国民は甘受すべきものということになる。
(図)
(昨日の日経)
小渕経産相が辞意。法人課税は賃上げなら軽く。国内株20%台半ば・GPIF。諮問会議・130万円の壁の解消を提言。大機・Jカーブは生きている・富民。
※税を軽くしても保険料はかかる。全体を見ないとね。※さすがだよ富民さん。
(今日の日経)
小渕経産相が辞任へ。10月月例の景気判断下げへ、「回復」認識は維持。読書・ブラックウォーター。