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» 2014年10月01日 11時27分 UPDATE

50年経っても:これが「ドクターイエロー」の心臓部……“黄色い新幹線”は神出鬼没 (1/5)

レールの歪みや架線の摩耗などを点検する車両「ドクターイエロー」。東海道新幹線が開業した1964年から走り続けているが、長らく秘密のベールに包まれていた。

[産経新聞]

 鮮やかな黄色の車体に青いラインを引いた新幹線がある。東海道新幹線が開業した昭和39年から走り続けてきた新幹線電気軌道総合試験車「ドクターイエロー」。レールの歪みや架線の摩耗などを点検する車両だ。「幸せの黄色い新幹線」とも呼ばれ親しまれているが、運転ダイヤは非公開。その心臓部は「機密情報」(JR東海)のため、長らく秘密のベールに包まれてきた。乗客の死傷事故「ゼロ」という世界で最も安全な大量高速輸送機関を陰で支え、10月1日に50年の節目を迎えたドクターイエローの知られざる検測作業に密着した。(大竹直樹)

ママ鉄も興奮、新幹線の「アイドル」

 家族連れでにぎわう夏休みの東京駅新幹線ホーム。電光掲示板に表示された文字は「回送」だったが、ホームの端にはカメラを手にした人たちが並んだ。

 「もうすぐ来るよ!」

 子供を連れた「ママ鉄」たちが叫ぶ。ヘッドライトの明かりとともに真っ黄色の車体が現れると、ホームに歓声が響いた。

 923形。新幹線開業前の試験車1000形を改造した初代から数えて3世代目のドクターイエローだ。700系をベースに製造された7両編成。JR東海はダイヤを公開していないが“追っかけ”も存在する。

 カメラのシャッターを切っていた川崎市の「ママ鉄」、松島恵子さん(36)は「ジャニーズの『嵐』。それくらいのアイドル!」と興奮冷めやらない様子だ。

 通常の16両編成の700系はパンタグラフが1編成に2台しかないが、ドクターイエローには4台ある。このうち2台が測定用パンタグラフだ。

 流線形の先頭部も通常の700系とはやや異なる。前照灯の間に前方を監視するためのカメラが設けられているのだ。ヘッドライトも通常の新幹線より明るいといい、夜間やトンネル内でも線路の状態を確認できるようになっている。

 側面の印象も大きく異なる。窓が少ないのだ。2号車にいたっては片側にたった4カ所。なるほど、謎多き車両であることは間違いなさそうだ。

yd_sankei1.jpg ドクターイエロー(新幹線電気軌道総合試験車)の電気信号測定車の測定員ら。ハイテクの検査機器が満載されている=名古屋駅−新大阪駅間(柿平博文撮影)
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