■ ブンデスリーガの第3節ブンデスリーガの第3節。1勝1敗のドルトムントと、0勝1敗のフライブルクがドルトムントのホームのシグナル・イドゥナ・パークで対戦した。夏の移籍市場がクローズする直前にマンチェスターUからドルトムントに復帰したMF香川にとっては復帰後の初の公式戦となる。ドルトムントでは2年間で49試合に出場して21ゴールを記録している。
ホームのドルトムントは「4-2-3-1」。GKヴァイデンフェラー。DFピズチェク、パパスタソプーロス、スボティッチ、ドゥルム。MFヨイッチ、ケール、ムヒタリアン、香川真司、グロスクロイツ。FWアドリアン・ラモス。怪我人が続出しており、MFロイスはユーロ予選で負傷したため欠場となった。新加入のFWインモービレはベンチスタートとなった。
対するアウェーのフライブルクは「4-2-3-1」。GKビュルキ。DFゾルク、クルマス、ケンプフ、ギュンター。MFシュスター、ヘフラー、シュミット、ダリダ、クラウス。FWメーメディ。スイス代表のFWメーメディが攻撃の中心となる。守備の要だったDFギンダーは対戦相手のドルトムントに1000万ユーロの移籍金で完全移籍となった。
■ 3対1でドルトムントが勝利試合はいきなりフライブルクが相手のミスから決定機を作る。前半のドルトムントは中盤や最終ラインのイージーなミスパスが多くて、なかなかリズムよく攻撃を仕掛けることができない。しかし、前半34分にMF香川の絶妙のスルーパスから裏に抜け出したMFグロスクロイツの折り返しをFWアドリアン・ラモスが合わせてドルトムントが先制に成功する。
さらに前半41分にドルトムントがカウンターを仕掛けると、最後は右サイドに流れたFWアドリアン・ラモスのグラウンダーのボールをファーサイドで待っていたMF香川が右足で流し込んで2点目を挙げる。MF香川はドルトムントに復帰した最初の試合からゴールという結果を残した。前半は2対0とドルトムントがリードして折り返す。
後半もドルトムントがペースを握ったが、後半18分にMF香川が足を攣ってプレー続行不可能となって、FWインモービレとの交代でMF香川はピッチを去る。ドルトムントは後半33分にもカウンターからMFオーバメヤンが決めてダメ押しの3点目を挙げる。後半45分にフライブルクが1点を返したが、3対1でドルトムントが勝利して2連勝となった。
■ チームとしての出来はイマイチだったドルトムントドルトムントは9月16日(火)にCLの第1節のアーセナル戦(H)が待っている。中2日で大一番を迎えるが、チーム全体のパフォーマンスはあまり良くなかったので、不安を抱えた状態でCLの初戦を迎えることになった。核となるドイツ代表のMFロイスとDFフンメルスの2人を欠いているが、Wボランチと最終ラインが安定感を欠いてミスが多かった。
WボランチはベテランのMFケールと22歳のMFヨイッチのコンビだったが、バランスはあまり良くなかった。MFヨイッチの攻撃力は魅力があるが、イージーなミスが多過ぎて、危険なエリアでボールを失うケースが目立った。守備的な役割を担っているMFケールがカウンターに対する防波堤になることができなくて、相手に簡単にカウンターを許した。
ミスが多かったのは最終ラインも同じで、特にCBのDFスボティッチと左SBのDFドゥルムのミスが目立った。幸いにしてGKヴァイデンフェラーの好セーブもあって自分たちのミスが致命傷になることはなかったが、CLのアーセナル戦で同じようなミスを犯すと即失点となる。最後の失点シーンも含めて、チーム全体としてピリッとしなかったのは否めない。
■ 復帰戦でゴールを決めたMF香川したがって、チーム全体の出来は決して良くなかったが、前半34分の先制ゴールで試合の流れをつかむことができた。バイタルエリアでボールを受けて、左サイドの裏を取ったMFグロスクロイツに右足のアウトサイドで絶妙のスルーパスを出したMF香川の「1つのパス」が思うようにならなくて嫌な雰囲気になりつつあった試合を変えた。
先制した後は相手のフライブルクの集中力が切れてしまって、ドルトムントが次々にチャンスを作るようになったが、誰しもが期待していたMF香川のゴールが生まれたのは前半41分のことだった。カウンターの形になって、右サイドに流れたFWアドリアン・ラモスからいいパスが来て、キーパーの動きを見て落ち着いて右足でゴールに決めることができた。
MF香川が10-11シーズンと11-12シーズンにドルトムントで残した実績は相当なものがあるが、マンチェスターUでプレーしていた2年間という「ブランクの期間」がドルトムントのサポーターのMF香川に対する記憶を美化するのは間違いない。ハードルというのは非常に高くなっていたが、いきなりゴールという結果を出して自身で復帰戦を祝った。
慣れ親しんだ環境でプレーできるのはプラスと言えるが、一方で、高まる大きな期待に応えなければならないというプレッシャーがある。今回のドルトムントへの復帰は決してイージーな選択ではなかったと思うが、最初の試合でゴールという結果が出たというのは大きい。ドルトムントのアイドルで、千両役者の面目躍如といったところである。
■ 以前の自分との戦い残念ながら後半18分に足が攣ってプレー続行不可となったが、体力的な問題はある。プレミアリーグの1節と2節はベンチスタートになって、最後まで出番はなかった。スタメン出場となったカップ戦もアクシデントにより前半早々に交代することになった。したがって、今シーズンに入ってから長時間プレーする機会が全くなかった。
MF香川はスタミナもトップレベルである。試合中に足を攣るケースは珍しいが、体力的な問題というのは何試合がスタメンで出続けていたら自然と解決する話なので、大きな問題とは言えない。試合中に足を攣ったとしてもプレーを続けることができる選手もいるが、MF香川は一度、足を攣ってしまうとプレーを続けるのは難しいタイプなのかもしれない。
ドルトムントを離れていた2年間のブランクがあって、さらには、マンチェスターUではゴール前でプレーする機会が少なかった。ドルトムントへの復帰が決まった後、「どこまでできるのか?」、「以前のMF香川とは違うのではないか?」という声も少なからずあったが、この日のプレーを見るとそういう心配は取り越し苦労と言えるのではないか。
昨シーズンはリーグ戦では18試合で0ゴールだった。数字だけを見るとさっぱりのように思えるが、マンチェスターUで学んだことはたくさんある。例えば、味方を使うプレーであったり、ボールを確実にキープする技術であったり、守備の部分であったり、そういう部分は前回、ドルトムントでプレーしていた時よりもレベルアップしていると思う。
そして、マンチェスターUという注目度の極めて高いチームでプレーすることで精神的にもタフになることができたと思うが、「マンチェスターUでの2年間は無駄ではなかった。」ということをこれからピッチ上で表現する必要があるし、さらに言うと、「当時と比べても進化している。」というところをドイツのピッチで表現してほしいところである。
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