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2014-09-14

ドイツは「自由の敵に自由を与えない」”先進国”。だからイスラム国の旗は禁止された…

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ある意味、ひとつ上の記事

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140914/p3

からの続きです。

独 「イスラム国」の支援活動を禁止

9月12日 23時10分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140912/k10014572951000.html

ドイツ政府は、イスラム過激派組織イスラム国」の脅威が国内でも高まっているとして、戦闘員の勧誘や宣伝行為など、「イスラム国」を支援することにつながるあらゆる活動を禁止すると発表しました。

これは、ドイツのデメジエール内相が12日、首都ベルリン記者会見して明らかにしました。それによりますと、今後、ドイツ国内ではインターネットなどを使った宣伝行為や集会活動、募金活動戦闘員の募集のほか、旗などのシンボルを掲げる行為など、「イスラム国」を支援することにつながるあらゆる活動を禁止するとしています。

ドイツ情報機関によりますと、ドイツから400人を超える若者らがイラクシリアに渡って「イスラム国」の戦闘員となり、このうち100人以上がすでにドイツ国内に戻ったとみられています。

デメジエール内相は、禁止を決めた背景として、「『イスラム国』はドイツ国内の公共の安全にとっても脅威だ」と述べ、ドイツに戻った元戦闘員や支持者らによるテロ行為の危険性が高まっていると指摘しました。

(後略)

これのブクマで、私を含め言及している人が何人かいるけど

http://b.hatena.ne.jp/entry/www3.nhk.or.jp/news/html/20140912/k10014572951000.html

ようは、ドイツ第二次世界大戦

「闘う民主主義」に舵を切った。「自由の敵には自由を与えない」という立場をとった。

それによってネオナチを厳しく追及、活動や表現を規制できているのは有名だが、実は共産主義運動も戦後、「自由の敵に自由を与えない」ということで堂々、弾圧というか規制を実施していたのであります。別に放火の罪を着せた、とかじゃなく(笑)、正々堂々、裁判所が解散命令をくだした。

ドイツ共産党

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%82%A4%E3%83%84%E5%85%B1%E7%94%A3%E5%85%9A

西部でも、占領中はニーダーザクセン州ブレーメン州で政権与党となることもあり西ドイツ成立直後にも一定の支持と議席を得ていたが、労働組合からの共産党員・支持者の排除や東側指導部からの干渉に伴う内紛から支持率が低下し、東西対立の激化から1956年連邦憲法裁判所によって解散させられた……解散年には7万人の党員を擁していた[5]。


さて、いま一度おさらいしよう。

今回、ドイツイスラム国の支持者に対し、直接的な暴力やテロを取り締まるのではなく「インターネットなどを使った宣伝行為集会活動、募金活動戦闘員の募集のほか、旗などのシンボルを掲げる行為」などの「あらゆる活動」を禁じたのである。

 

要はイスラム国の旗を掲げるのはヘイトスピーチだ」という認定なんですわな。

ナチのカギ十字というシンボルを掲げるのがヘイトスピーチの認定になるのだから、たしかにドイツ政府の視点から見たら、自称カリフのおわす国の、黒き旗の真中に「アッラーの他に神なく、ムハンマドアッラーの使徒なり」と染め抜かれたあのシンボルヘイトスピーチだ、と認定するかもしれない。


一方で日本では(過去の文章だけど)

masanorinaito @masanorinaito 2014-08-08 19:05:30

やり方が残酷だの、前近代的だのという批判は、中東の現実に照らしてみれば、領域国民国家の方がはるかに残虐な戦争をし続けてきたわけであるからあたらない。イスラーム本来の姿に戻ろうとするイスラーム国に対して、前近代的というのは非難ではなく称賛である。

 

中田考 ‏@HASSANKONAKATA 6月11日

スンナハ派初代カリフのアブー・バクルシーア派初代イマームのアリーが、少なくとも現世的にはバイア忠誠誓約を交わして、協力してイスラーム世界(アラビア半島)の再統一を果たしたように、アブー・バクル(バグダーディー)とアリー(ハメネイ)がバイアを交わしてイスラーム世界再統一を果す!

というようなツイートが飛び交っている。そしてそれを日本は少なくとも現状「自由」の立場から認めている。

たとえば「闘う民主主義」に日本がなったとき、上の2人のツイートはどう考えるべきなのか。

そういえば、ドイツの中では「アサド政権のほうが残虐では無いか。ISは『より小さい悪だ』」とか「イスラム法の統治は一定の秩序をもたらしている」というような議論も禁止されるのだろうか。その時、宣伝と批評、論評はどういうふうに分けるのか。

そのへんは誰かおしえてほしい。


シンボル規制に関してはもちろん、IS旗がひるがえろうとも、現時点では日本国の法では止めようがない。

というか日本は、そもそも法的に掲揚が規制されるシンボル、というものが殆ど無いのではないか。よくも悪くも。


ドイツイスラム国に関する表現規制。たとえばこれが「進んで」おり、規制をしない日本は「遅れて」いるのか。先進国ドイツをこれから見習うべきなのか。

しかしもし、そういうのを禁止するとしたら、まず北緯38度の北におわしますあの(中略)の肖像画を(以下略)。



ドイツハーケンクロイツを禁止している。そしてIS旗を禁止している。

日本ハーケンクロイツに対しても規制は無い。そしてIS旗も規制されない。

f:id:gryphon:20140914111642j:image:medium



これは国旗冒涜の問題にもつながると思う。

(実情そうではないが、理念的には)コーランを焼ける国では国旗も焼ける。コーランを焼くのを規制できる国なら国旗を焼くのも規制できる。@kdxn

https://twitter.com/gryphonjapan/status/505905411963092992

関連

■「神聖」なものを全部(法的に)保護すれば平和は来るが、その方向性でいいすか?

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20100922/p3

(了)


付録 イスラム国空爆の法的正統性は?

米のシリア空爆:問われる法的根拠 露は安保理決議を要求 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/select/news/20140913k0000e030230000c.html

米政府は、イスラム国米国民2人を殺害したことを米国への攻撃と見なして個別自衛権を根拠に国際法上、シリア空爆実施は可能との認識…米兵2人が殺害されたことに対するリビア空爆や、2001年の米同時多発テロに対するアフガニスタンパキスタンでの一連の空爆は、今回と同様、自衛権を根拠としている。

(略)

国際法上は国連安保理決議を得ることが最も正当性を確保できるが、ウクライナ問題などで対立するロシアが承認する可能性は極めて低い。

(略)

バマ大統領シリア空爆の選択肢を含む対イスラム国包括戦略を発表した際、国内法的には必要な権限を保有していると主張…軍を運用する権限と、米同時多発テロの際、上下両院で採択された「国際テロ組織アルカイダとその系列組織」に対する武力行使容認決議に基づいている。

 しかし、後者については、イスラム国が公式にはアルカイダから脱退し、独自の国家建設を宣言していることから、別途議会の承認が必要だとの指摘も…