いつか朝日が昇るまで

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「反省」だけでは不十分と批判していたのが朝日ではなかったか

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今日の朝日新聞星浩特別編集委員のコラムが載っていた。タイトルは「事実に正直に向き合いたい」である。後に大学で教えることになる先輩石川真澄氏の言葉を引いて,「事実に正直に向き合いたい」というのは分かるのだが,問題はそこではないと思うのがほとんどの読者の感想ではないか。

 

朝日新聞の多くの記者も地道に細かな事実を集めてきた。リクルート事件大阪地検の証拠改ざん,猪瀬直樹東京都知事への資金提供問題など胸を張れるスクープもたくさんある。だから,今回の慰安婦問題と「吉田調書」報道の記事取り消しは,悔しくてしようがない。慰安婦問題の吉田清治氏の証言が事実がどうか,なぜもっと早く点検できなかったのか。吉田調書を,なぜ思い込み捨てて淡々と読み込めなかったのか。池上彰氏のコラム掲載を見合わせたことも併せて,私たちは猛省しなければならない。 

 

朝日新聞は今まで日本政府の「反省」は言葉だけではダメだと批判してきたのではなかったか。ここで「猛省」という言葉が出てくるが,朝日が批判してきた対象と同じで,「猛省」だけでは何も変わらない。なぜそのようになったのか検証し,どう変えればいいのかを提言することが星浩氏の役目であり,「猛省」と言われても,「それでどうするの?」というのが読者の印象である。こういうのは日本の政治家が言葉だけの反省を口にして事態を収拾してきた構図と全く同じである。

 

こうしたどこか他人事のような姿勢は以下の言葉に表れている。

 

読者に重要な事実を伝えなければならないその時に,朝日新聞の問題に紙面を割かなければならないことが,本当に残念なのだ。 

 

こうした発言は今回の誤報,訂正問題が朝日の構造的問題であるという認識がないために行われているのではないか。記者生活35年であれば,朝日にどのような構造的問題があり,今回のような問題が起こったのか分かるのではないか。社長が辞任,編集委員交代で問題が解決するわけではないことは,大臣辞任で問題が終わるわけではないと批判して朝日自身が分かっているはずである。

 

安倍政権に批判的な立場を取るのは別にかまわない。そうした新聞があってもよい。私自身も自民党政権には批判的である。しかし,結局,歴代の政権与党と同じような体質を朝日が持っているのであれば,安倍政権批判もむなしく響くだけである。

 

今後,朝日が自分たちで調査してその問題点を報告していくのだから,それまで待てと言うのかもしれない。しかし,私は記者歴が長い星浩氏がこのような「猛省」で終わらせるコラムを書いてしまうことにがっかりしたのだ。そんなことを一読者として思った日曜の朝だった。もう新聞取らなくても良いかな…。

 

追記

 以下のような報道もありました。「反省」だけではダメだというのがよく分かりますね。

朝日新聞に新たな不祥事任天堂・岩田聡社長インタビューを捏造していた! | スクープ速報 - 週刊文春WEB

 

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