英北部スコットランド行政府のサモンド首相は11日、中心都市エディンバラで海外メディアと会見し、18日の住民投票で独立が決まった場合に協議を始める欧州連合(EU)への加盟に自信をみせた。独立後の使用通貨については「(英国との)通貨同盟は可能だ」と述べ、現在流通する英通貨のポンドを継続使用する考えを示した。
サモンド氏が独立問題で海外メディア向けに会見するのは初めて。スコットランドでの世論調査で独立への賛成派と反対派が拮抗するなか、国際社会では独立で金融市場などが混乱するとの懸念が浮上している。同氏は海外に向け、スコットランドを巡る現状が独立後も大きく変化することはないとの見通しを示すことで、こうした不安を払拭する狙いとみられる。
サモンド氏は「18日の投票で独立が決まる」と語り、住民投票での独立賛成派の勝利に自信を示した。強調したのは独立後のEU加盟のシナリオだ。サモンド氏はスコットランド沖の北海油田をはじめとするエネルギー資源などをあげ、「(EUは)どうしてスコットランドを除外できるだろうか」と問いかけた。
スコットランドは漁業資源も豊富で、EUに加盟すれば経済面で貢献できると指摘した。
EUに新規加盟するには全加盟国の同意が必要だ。独立機運が強いカタルーニャ州を抱えるスペインなどが同意しないとの見方が多い。これに対し、サモンド氏は「スコットランドの住民投票は英政府との合意に基づいており、この点でほかの地域の独立運動と決定的に異なる」と反論した。
独立後の通貨はポンドを使い続ける考え。これは英政府が拒否しているが、中央銀行を新設し独自通貨を流通させる可能性に関しては明言を避けた。
一方、スコットランドに拠点を置く英銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は11日、独立が決まった場合、持ち株会社と中核事業会社をイングランドに移すことを検討していると発表した。それでも、雇用と事業のかなりの部分はスコットランドに残すと説明した。
この件について会見で質問を受けたサモンド氏は「大事なのは(独立後も)経済活動が行われることだ」と述べ、独立が金融面に与える影響の見通しは誇張されていると反発した。
(エディンバラ=小滝麻理子)
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