賢者の知恵
2014年09月13日(土) 週刊現代

代々木ゼミナール「代ゼミ」の誤算 カリスマ経営者が死んだ後に

ビジネスマン必読

週刊現代
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公開模試や夏期講習など、少なからずお世話になった人も少なくないだろう。しかし、「予備校の代名詞」だったあの頃の面影はもうない。「われらの代ゼミ」はどこへ向かおうとしているのか。

神道学部の「武勇伝」男

「もともと代々木ゼミナールは、創業者でカリスマ経営者である高宮行男さんのワンマン経営によって躍進してきました。高宮さんは国学院大学神道学部を卒業し、東京・永田町の日枝神社などに奉職した後、戦後は材木商などを手掛けた異色の経歴の持ち主です。'57年に代ゼミを始めてからは、予備校後発組ながら、時に過激すぎると批判されるほどの大胆な戦略で一気にのし上がってきた。

地方進出時には絶対に地元の一等地に校舎を作るという方針を立て、相場の倍の価格を出してでも土地を購入したり、浪人生に潤いを与えたいと考えて、受付にミスコン出身のきれいどころを並べたりと、『武勇伝』には事欠きません。

そんな高宮さんが'09年に亡くなられた。そこから代ゼミの経営に変化が起きたように思います」(元代ゼミ講師)

大手予備校の代々木ゼミナールが窮地に陥っている。

代ゼミはこのほど、全国27の校舎のうち、仙台、池袋、横浜など20校舎を閉鎖、一部の全国模試も廃止するなど事業を縮小して、同時に40歳以上の職員の早期退職を募集すると発表した。

代ゼミ側はその理由として、「少子化にともなう受験人口の減少」や「現役志向の高まりによる浪人人口の減少」などの外部要因を挙げたが、詰まるところは経営陣が先を読めていなかったため、事業縮小に追い込まれた形といえる。

現在、代ゼミを運営する学校法人・高宮学園の理事長を務めるのは創業者の息子である高宮英郎氏。日商岩井(現・双日)勤務を経て、代ゼミ入りした「二代目」である。

「代ゼミは発表に先立って、高宮英郎氏名義で、校舎を集約する旨を伝える文書を講師たちに配っていますが、その文面がまさに代ゼミの現状を象徴しています。『先生のご理解とご協力を切にお願い申し上げます』と書きながら、一方で、生徒や保護者に説明するまで、『ご他言なきよう』と釘を刺しているのです。

経営陣が現場の講師を信頼しておらず、経営と現場の距離が離れている証拠です。ライバルの河合塾は講師や職員が経営陣と一緒にカリキュラムを考えたり、現場が経営方針を提案するなど、彼我の差は歴然。二代目はトップダウンの悪しき部分だけを継承してしまった印象です」(予備校業界に詳しいコンサルタント)

前出の元代ゼミ講師もこう指摘する。

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