あべのハルカス:開業半年 響く近鉄百貨店本店の低迷

毎日新聞 2014年09月08日 20時50分(最終更新 09月08日 20時57分)

開業から半年を迎え、苦戦が続く専門店街「ソラハ」=大阪市阿倍野区で2014年9月8日午後、川平愛撮影
開業から半年を迎え、苦戦が続く専門店街「ソラハ」=大阪市阿倍野区で2014年9月8日午後、川平愛撮影

 日本一の高さのビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)が7日で全面開業から半年を迎えた。8月末までの来館者は目標より約100万人少ない2200万人。けん引役が期待された近鉄百貨店本店の低迷が響き、1300億円の巨費を投じた近鉄グループは、年4740万人の達成に向けて戦略の見直しを迫られている。

 1年間で180万人を見込んだ展望台は、8月末で既に141万人を突破。ホテルは客室稼働率80%と目標通りで、オフィスの入居率も9割に達した。ただ、百貨店の来店客数は目標を1割下回る1889万人。さらに来店客のうち、実際に買い物をする人の割合は94%を見込んだが、80%にとどまった。

 本店はタワー館とウイング館があり、全面開業時に売り場面積を5.8万平方メートルから日本最大の10万平方メートルに拡大した。苦戦しているのは目玉のはずだった専門店街「ソラハ」(ウイング館2〜4階と7階、地下2階)。これまで手薄だった若い女性の呼び込みを狙ったが、4月から計画割れが続く。人通りの多いタワー館の出入り口から最も遠い東端にあるため「どこにあるか分からない」と戸惑う客も多い。天王寺ミオなど対象層がぶつかる周辺の商業施設との集客争いも勝ち抜けていない。高松啓二・近鉄百貨店社長も「十分にPRできていない」と認知度不足を認める。

 てこ入れ策として、タワー館からソラハへの通路を拡大し、LED(発光ダイオード)を使ったゲートも設置してアピールする。11日には完成予定。また、固定客確保のため8月30日からソラハのポイントカードを発行しており、6カ月で1万枚の発行を目指す。

 買いにくさを指摘する声がある「デパ地下」の配置も見直す。食料品売り場は、両館の地下計3フロアに分かれており、買い物客は段差を越えて広い売り場を行き来しなければならない。このため、生鮮食品売り場近くに総菜店を配置するなどして狭い範囲で買い物が済ませられるよう売り場を再編する。

 そのほか、展望台の来場者やホテル宿泊者に百貨店の割引券を配り、売れ行きが好調なハルカスグッズや大阪土産の品ぞろえを充実させて観光客の取り込みを図る。【岡奈津希】

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