ロボットやコンピューターが人間に代わって働くようになって、そのぶん人は楽に暮らしていける。そんな未来予想を、子供のころに聞いたことがあった。
いま実際にロボットが仕事をするようになったけれど、人の暮らしはあんまり楽になってないように思う。
ロボットに仕事をとって代わられた人は、のんびり暮らせるようにはならず、ただお金を得る手段を失って、むしろしんどい暮らしをするようになった。機械化が進んで、一部の仕事で人間が働く必要はなくなったけど、人間が働かなくても生きていける仕組みは、まだ世の中にはつくられていなかった。
ロボットやコンピューターは、これまで人間がやっていた事務仕事なんかを、自動的かつ効率的にやってくれるようになった。働いている人にとっては、そうした仕事が省けたぶん「時間」が余った。けれどその余った時間は、楽にすごしていい時間ではなく、別の仕事をさらに頑張る時間になった。
便利になった世の中は、働ける人にとっては、より仕事がギッシリ詰まった忙しいものになり、働けない人にとっては、便利になってもお金がないから楽には暮らしていけないものになった。
もうこの辺で、ちょっとくらいサボってもいいんじゃないかと思うのだけど、世の中の方向としてはむしろ、もっとその先を目指そうとしている。働く側にとっても、働けない側にとっても、しんどく、便利で、快適で、効率的で、豊かな世の中を。
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