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目標を勝ち点53から残留に変更したことを示す大宮サポーターのフラッグ。奇跡的な残留を何度も実現したクラブは、今年も生き残ることができるのか。
photograph by J.LEAGUE PHOTOS
Jをめぐる冒険

勝ち点53からJ1残留へ目標を変更。
迷走大宮のフロント力を問う。

飯尾篤史 = 文

text by Atsushi Iio

photograph by J.LEAGUE PHOTOS

 大宮アルディージャが大熊清監督の解任を発表したとき、「ああ、やっぱり」と納得したのと同時に、どこかホッとする気持ちもあった。浦和レッズとのさいたまダービーに0-4で敗れた翌日、8月31日のことだ。

 前日、試合後のミックスゾーンでは大宮の選手たちが一様に思いつめたような表情をしていた。

「やるのは監督ではなく、自分たちだから」

「選手が戦術の部分に原因を求めたら、成長できないので」

「どうすればいいんですかね……」

「戦術うんぬんの前に、僕らの力不足だと思います」

 これまでの経験上、こうした言葉が選手の口から聞かれるようになると、監督との信頼関係にヒビが入っていることが多い。

 監督の指導なり、戦術なりに不満を抱えているけれど、公の場で監督批判、チーム批判をするわけにはいかない。ところが、ミックスゾーンでメディアからチームの現状や低迷の原因を訊ねられるため、こうした回答が増えていく。

 耳を傾けていて、彼らの言わんとすることや、口にしたくてもできない気持ちが伝わってくるから、こちらもいたたまれない気持ちになってしまう。

 こんな状況は、選手にとっても監督にとっても不幸でしかない。フロントは早く決断したほうがいい――。そう思っていた矢先に飛び込んできた解任の報だった。

大熊監督とその教え子たちを招いたが、下位に低迷。

 昨季、8節から16節まで首位に立ちながら、最終的に14位でシーズンを終えた大宮は今季、かつてFC東京やユース代表を率いた大熊監督を迎え、立て直しを図ろうとしていた。

 家長昭博や増田誓志、中村北斗ら、指揮官のかつての教え子たちを招き入れ、戦力補強に余念がないように見えたが、メンバー構成やシステムがコロコロと変わり、何を強みにして戦おうとしているのかが感じられず、下位に低迷した。

 7月にはセルビアリーグで二度の得点王に輝いたセルビア代表FWのムルジャを獲得したが、W杯中断後のリーグで3分4敗と勝てず、17位でJ2降格圏内にどっぷりと浸かったまま――。そんな状態で迎えたのが、首位に立つ浦和とのダービーだったのだ。

【次ページ】 何度も残留のきっかけとなってきた「さいたまダービー」。

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