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みなさんは、スコットランドといわれて何を思い浮かべるだろうか? ハリーポッターが誕生した国、映画「トレインスポッティング」、バグパイプ、キルト、ネッシー……。あと、サッカー選手である中村俊輔さんが在籍していた「セルティックFC」もスコットランドのチームである。

イングランド、ウェールズ、北アイルランドとともにイギリスを構成しているスコットランドだが、近い未来にイギリスから独立することになるかもしれないのだ。現在のイギリスの姿を変えることになるであろうこの独立について、人々はどのような気持ちを抱いているのだろうか?

・もともとは独立国であったスコットランド

グレートブリテン島の北部を占め、もともとは独立した王国だったスコットランド。しかし1707年、経済危機などの理由から、イングランドに吸収される形で合併。グレートブリテン王国となったのだが、不公平な併合だと多くのスコットランド人が不満を持っていたという。

その後、1999年にはスコットランド議会が292年ぶりに復活。イギリスからの分離独立を目標に掲げるスコットランド国民党の働きによって、2014年9月18日にスコットランド独立を賭けた住民投票が実施される運びとなったのだ。

・それぞれの立場を表明する有名人たち

今回の独立について意見を表明する有名人も多いが、賛成派・反対派の真っ二つに分かれている印象を受ける。

独立賛成派として、俳優ショーン・コネリーさんや映画監督ケン・ローチさんなどが挙げられる。「スコットランドは新たな一歩を踏み出そうとしている」と発言するコネリーさんは、独立を後押しする強い姿勢を見せているのだ。

一方、反対派の立場を取るのは、歌手スーザン・ボイルさんやデヴィッド・ボウイさんなど。『ハリー・ポッターシリーズ』の作者J・K・ローリングさんは、「独立は私たちにとっていい機会となるかもしれませんが、リスクが大きすぎます」と発言し、独立反対運動に100万ポンド(約1億7000万円)寄付したことで話題を集めた。

・住民の気持ち

英公共放送局 BBC の行った調査によれば、8月15日の時点では今回の独立論争について「賛成:38%、反対:51%、どちらとも言えない:11%」となっており、独立反対派が優勢だと見られている。しかし、両派とも真剣な態度は崩していないようで、投票を目前に控えながらも、さらに熱心な運動を行っているという。

海外サイト Reddit 上にも、スコットランド独立について話し合うスレッドが立てられ、熱い意見が多数寄せられていたので、それぞれの声を紹介したい。

・独立賛成派の意見

「今のイギリスの政治にウンザリ。確かに、独立したスコットランドでも同じような腐敗した政治システムになってしまうかもしれない。でも少なくとも、それは僕たちの手で選んだものなんだ」

「僕たちの国のかじ取りを、他の国に任せたくないんだ。別にイングランドが嫌いというわけではない。もしかしたら、もっと悪い状況に陥ってしまうかもしれないけれど、独立できるのならかまわない」

「イギリスから離れれば、非核の道を進めるかもしれない」

・独立反対派の意見

「医療、教育、経済など、今のままで十分素晴らしいので、変える必要はないと思います。確かに問題だってたくさんありますが、“イギリス” として各カントリーが協力しあえば解決できるはずです」

「イギリスの一部でありながらも、スコットランド人として誇りを持つことは可能だと思う。ただ、実際に独立するにはEUのメンバーシップや安定した経済の実現など、問題が山積しているように感じられる。イギリスの他の地域を抜きに、ちゃんとした1つの国になれるとは思えない」

・イギリス国旗も変わる?

またスコットランドが独立した場合、イギリス国旗のデザインも変わることになりそうだ。なぜなら、赤、青、白が組み合わされた現在の英国旗の「青」の部分はスコットランドの旗が取り入れられたものだから。独立となればその「青」が無くなる可能性があるのだ。

自分の国をどうしたいか、多くの人々が真剣に考えていることがよく分かるスコットランド独立投票。2014年9月18日、イギリスはどのような結論に達するのだろうか? 日本から遠く離れたイギリスだが、全くの他人事というわけではないはずだ。

参照元:RedditYou TubeREUTERS(英語)
執筆:小千谷サチ

▼1603年 イングランドとスコットランドの国旗が一緒になる
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▼1801年 アイルランドの国旗が加わり、現在のイギリス国旗となる
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▼もし、スコットランドが独立した場合はスコットランドの国旗が英国旗から消える可能性があるのだ

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