プロ野球:広島の松田オーナー 地域に愛されてこそ
2014年08月09日
2004年のプロ野球の球界再編問題の後には、各球団も大きな変革を求められた。球団経営の理念、この10年間の経営改善やファン拡大などを球団首脳に聞いた。赤字を埋めてくれる親企業を持たない「市民球団」広島の松田元(はじめ)オーナー(63)は、放映権収入の落ち込みにより「一番苦しかった」という時期からの球団経営を振り返った。「カープ女子」をはじめとしたチーム人気の盛り上がり、球団と地域の関係、今後の課題についても、広島弁を交えて語った。【まとめ・細谷拓海】
◇「カープ女子」には正直、戸惑いもある
−−近年、広島の女性ファン「カープ女子」が急増しブームになっている。どう受け止めているか。
◆(09年に現在の本拠地の)マツダスタジアムができた時からずっと言いよるのは、3世代の人に一緒に来てもらおうということ。カープ女子と言われる人たちにターゲットを絞って何かをしたつもりはないから、戸惑いがある、いうんが正直なところ。
関東の横浜スタジアム、神宮球場における小さいコミュニティーの集合体がカープ女子だと思う。仲間が集まって、球場で一緒に応援しましょうよとか、一緒にカープ談議をしましょうよとか、そういう集まりを繰り返しているという話を聞いた。だから神宮や横浜でしか成立しないコミュニティーと思うとったんじゃけどね。
−−球団も交通費を負担して関東からのツアーを企画するなどファンサービスに積極的だ。
◆4月に関東のファンクラブ会員をバス5台に分けて、弾丸ツアーをやった。関東のファンが一生懸命応援してくださるんで、じゃあ何らかの形で報えることはないじゃろうか、と考えた。で、5月には関東カープ女子ツアー。盛り上がる関東のカープ女子を、一回招待しようか、という考え方でやった。
前にはカープうどん(広島の球場名物のうどん)を神宮で販売したり、OBの高橋建と佐々岡真司と山崎隆造が神宮と横浜スタジアムでファンクラブの60人に生解説をしたりもしている。
−−ファンの拡大が狙いか。
◆そんな戦略的なものよりも、もっとエモーショナル(感情的)な部分よ。いろいろやってくれるんじゃけえ、なんかせにゃあ申し訳ないという感覚。
−−マツダスタジアムの観客数も年間150万人以上と好調だ。