夏らしい話題を盛り合わせて繋いでいこうか。
まずは海の話から。
利用客が激減…湘南ビーチの規制強化「浜辺で酒も飲めない音楽も聞けない。こんなビーチに誰が来ますか?」
冷静に考えたら浜辺で音楽を聞く必要も酒を飲む必要もなく、さらには営業時間が18時でも海水浴は十分楽しめるはずだから、この記事に出ている言い分はおかしい…と季節外れに海に来るような僕は言いたい。
でも、この話はもう一個切り口がある。「ビーチ=海水浴」ではなく、海の家や海に来る若い人が持っている価値観を元に切り取らないと本質的な事が読み取れない気がしてならないと僕は思うんだ。
- 趣味なんていつも存続の危機だと思ってますが?
身も蓋もない事を言えば、「単純に海水浴をしに来る奴なんか湘南や逗子のようなとこに来る方がおかしいんだよ!ファミリープランが不十分だよ!」と言いたい。
ファミリープランはファミリープランでも、ひだまりのような明るさではなく、「直射日光」な明るさで家族計画だよ!色々と光り輝いてるよ!海とか水着とかもう色々!
具体的に言えば、夏の海には「ナンパして女と酒飲んで踊ってその後は夜のDJイベントでシャレ込みたい人、あるいはちょっと悪ぶりたい若い子」が手っ取り早くなおかつ安全にハメを外すにはいい場所だから、彼らが悪ぶれる場所じゃないとダメなんだ。足湯みたいな海の入り方じゃダメ!
真面目ぶって「悪趣味」とかいうもんじゃない。彼らは立派に計画的に今を楽しんでるわけで、若い女の子の水着を間近で見られる位置に居たいのは大半の男性の夢だから!ナンパされる人の気持ちはわからんが、男側から見ると普遍的なところを追っかけた直球の趣味だ。
問題はドル箱であるはずのビーチとアゲアゲな人達の関係がどうして断ち切られることになったのか?という話。
過去に報道されたものによれば、近隣住民からの苦情などが原因で規制が強化されたともある。しかし、大きな原因はこの記事によれば、海の家利権をめぐるヤクザの抗争が規制強化を検討されるようになったらしい。
そんで、海岸の規制とテレビの規制を引っ掛けて「グレーの部分を大切にすべき」と言う意見を表明している、考えている著名人もいる。
逗子海岸が規制厳しくなりすぎて人がいなくなった件と、テレビが面白くないことには通じるものがあると。そうかもしれない。過度に倫理を求めるのではなく、グレーを大切にしたい。元フジテレビ長谷川豊さん記事。/テレビがつまらなくなった訳 http://t.co/gBEKmpRTaL
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) 2014, 7月 28
いやいや、おかしいおかしい!
そんな生ぬるいこと言ってたら、今ほどオタク趣味は普及できなかったし、コミケなんか存在自体が消滅してるわ!実際、それだけの事件や迷惑、あと経済的にグレーな問題はいっぱいあるわ!
グレーな部分どころか、オタク趣味について言えば表現・イベント・コンテンツ制作(アニメ、ゲーム、マンガ、もっとマイナーなエロや同人など)の存続から考えてもグレーどころか踏みとどまってるのがおかしいレベルにゆがんでるわ!
でも、それでも多くの人数を巻き込みながら増えるのはなぜか?
好きな物や人、イベントを自分達で作ってる文化圏だからだ!
有名なのはコミケの「お客様はいない。みんなが参加者」だが、日頃ネットを見ていてもコンテンツを作る人、紹介する人、規制や違反に対して物申す・相手取る人がそれぞれに「内輪意識」を持ってやってるから成り立ってる部分がとても大きい。
もちろん、海好きな人にもそういう習慣があって圧倒的に海のゴミ拾いをしてる人のつぶやきをしてる人や、マナー遵守を訴えるようなサイトもみかける。
でも、そういう人が圧倒的に少ない趣味はどうしてもグレーな部分が潰されて行ったり、一度悪役になった時に弱いんじゃないか?と。
特に、完全に身内しかいないFBやLINEにばかりいたり、小難しいことを書く人が少ない趣味などは訴える力が弱いよね。また、Twitterでも幾つか逗子海岸関連のつぶやきを探してみたが、海に行くようなリア充はリツイートではなく、ふぁぼだから、より人に楽しさが伝わんないだよね…。
ちなみに、グレーな部分や問題と相手取る力が一番強い文化圏は野球だと思う。
報酬が高いトップ選手がお金を社会貢献に使うのはたくさんでもあるが、ストライキを監督からファンまで全面的に歓迎してやったり、勝とうが負けようがドベ続きだろうが、ほぼ毎日地元球団のことを一面に出す新聞 があったり…1つの趣味に対して現場からメディア(≠読売)まで相手取ったり、盛りたてる姿勢を保つ文化圏は素直にすごいよなぁ。
わかりやすいから、もう一個野球の話をするよ。
野球は選手の入れ替わり、ケガ、引退、海外流出のような内部的な要因。
さらに、球団再編(経営問題)や細かいルール変更、テレビ離れ外部的な問題も含めて、つまらなくなりそうな要素がいっぱいある。僕が生まれる前からずっとそういう問題があるけど、熱心すぎる選手やファンやメディアのお陰で赤字な球団がいてもかろうじて続いたり、盛り立てて改善されたりしてる。
本当の当事者でもないのに、内輪意識を持って趣味を盛りたてることは別に「義務」ではない。でも、それをやらない趣味は滅びたり、アングラ化して近寄りがたいおかしな人がひっそりと楽しむ不便な趣味になる。
これは趣味や人の流れに関するビジネスしている人にも言えることだね。
関係者の利権争いで殺人事件が起きたり、問題になっているのに「自分が儲からない」とゴシップ誌経由で愚痴ってみたり…そんな自分勝手な連中の趣味なんか悪役になったり、認められなくなっても文句が言えないわ!
悪役にならないように、あるいは愛好する人に協力してもらえるように動いてたら、規制強化はもっと別の形になってたのではないかな?
グレーな部分はたしかに楽しい。悪趣味なまでのエログロや爆音、明るい計画を実行するべく楽しむのは楽しいさ。でも、迷惑な人や理解のない人、儲からない人・続けたくても続けられない人がいる限りは文化や趣味なんか衰退する方向にしか向かわない。
規制されそうになった時に相手取る姿勢、自分達の趣味を認めてもらうためになんか作ったり、宣伝したり…あるいは迷惑分を埋め合わすための奉仕活動やルール遵守に徹したり…長い歴史が続いていたり、発言力を増やしてる趣味には内輪意識とそれを実践する人がいて、それを味方につけたビジネスは強い。
好きな人やモノ、場所がある人がなるべく多く趣味が長続きしたり、認められるような方向で動くようになったら、もっと面白いものは増えるし、法律的などうしようもない決まりは減っていくんだろうなぁ…。